植田:欧米人と日本人のセンスの違いっていうのはあるんですけど、東欧っていうのもあると思うんですよ。東欧ってやっぱりちょっと真面目なんですよ、国民性的に。あと、レースゲームってどこ行っても同じじゃないですか(笑)。意外とスムーズにいってますね。ただやっぱりカルチャーの違いがあって、夏休みとかクリスマスシーズンに入ると、2週間全く連絡取れないとか、そういうのはあります。
■「結局、外注さんとのやり取りって担当の問題ですよね」
久永:うちは一部上海のスタジオを使ってるんですが、そのスタジオを使った最大の理由って、そこのCEOが友達だっていう距離感。元同僚でイギリス人なんですけど上海でCGのスタジオを起こしてる。ある意味言いたい放題っていえば言いたい放題だし、オープンに話ができたことや双方の担当者の努力で、今のところ大きなトラブルは出さずに来てるのかなと。澤さんが苦労されているようなことって、私はブリザードの「DIABLO 2」で痛い目に遭った。ユーザーに叩かれて本当に胃が痛い毎日だったんですけど、ブリザードは自分達が納得しないと絶対動かない。パッチ1個、自分達の都合じゃないと動かないんですよ。さっきのローカライズの話だって、ある場所は全角カタカナで出すんですが、ある場所は文字数が足りなくてはみ出す、「じゃあそこだけ半角にすればいいじゃん、日本語には半角ってあるんでしょ?」っていう話になって、そんなのかっこ悪いだろうと(笑) そんなレベルでけんかするんですね。
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栢:結局、外注さんとのやり取りって、セガ、ソニー(SCE)の時に見てたりしましたが、担当の問題ですよね。
久永:それは大きいです。外資って、作り手は日本人以上にゲーム好きで入って来てるから必死に作ってくれるんですけど、担当として間に立つ人は「このビッグビジネスでいいポジション取ろう」と思ってたりする。
私、EAとかにいましたが、EAの上の人達って、結構皆MBA持ってるんですよ。そういう世界なので、ライセンスの窓口やってる人間も、以前よその業界でライセンスビジネスやってましたとか、そういうタイプの人達が多い。ビジネスの論理で回されると、話が通じてようが通じてなかろうが、「その修正を入れるとコストいくらかかる」「それで何本売れるの?」みたいな議論になってなかなか先へ進めないんですよね。ブリザードも、ブリザード自体がどうのこうではなく、ヴィヴェンディがマーケティングの会社なので、まず数字が立ちはだかった。
■「クオリティにこだわる仕事は中じゃないと頼めないんですよね」