gamescom2011でのメディア向けプレゼンテーションで惑星エクソダスの世界観を「これでもか!」と言わんばかりに見せつけた『Prey 2』の開発チーム。筆者は同スタジオテクニカルレベルデザイナー、ノーム・ナゾロフ氏に対し緊急インタビューを敢行していた。ここでは、その時の模様をお届けしよう!―――まず、現在の開発体制を教えてください ノーム・ナゾロフ氏(以下、ノーム):幾人かのスタッフは約3年前から既にこのプロジェクトに関わってきました。現在は50人体制ですね。―――作品としては前作と全く違ったものになっているのですがその背景は? ノーム:前作は典型的なSFシューティングゲームという感じだった。ただ、プレイヤーキャラクター、トニーがアメリカンインディアンの血を継承し、スピリットパワーを使えるといった点がゲームメカニクス的にはユニークでした。本作を開発するにあたって、前作はトニーを中心とした物語だったけど、「Prey」の世界観にはその他にも非常に興味深い要素がたくさんあると思ったんだ。だけど、その面白さを示すには、完全に別の人からの視点が必要だと感じた。また、同時に新キャラクターを採用することによって、新たなゲームメカニクスを採用することが出来るとも思ったんだ。―――前作のファンはビックリしたのでは? ノーム:そうだね。だけど、トニーは今作でも登場するんだ。とても重要な役割を担ってもらうよ。キャラクターとしてプレイ出来るわけではないけど、スピリットパワーを使う姿も見せてくれるんだ。あと、前作の敵として現れたエイリアンも登場するよ。ストーリとしてどんな形で絡んでくるかは言えないけどね。だけど、惑星エクソダスも「Prey」ワールドの一部として繋がっているんだとユーザーが感じることが出来ると思ってる。 ゲーム性が前作と違うと言う点だけど、「Prey」らしさはFPSに常に新しいゲーム性を提示するという点にあると思うんだ。前作で言えばそれがスピリットパワーに該当するよね。つまり、前作でも行ったように、本作でもFPSという遊びの空間を拡大させるという事が出来ればそれが「Prey」らしさに繋がると思っている。―――本作では特にどの部分がFPSの定義を拡大していると思いますか? ノーム:今作から使えるようになった様々なガジェットはそれにあたるよね。僕らが開発しているアジャイルな戦闘システムは、防御的ではなく、攻撃的な時も使えるという点がユニークなんだ。あと、オープンワールドという点かな。これまでの非常にたくさんのオープンワールド的なゲームが開発されているけど、オープンワールドFPSは決して多くない。僕らはオープンワールドも好きだし、FPSが持つスピード感も大好きなんだ。この2つのジャンルの優れた点を如何に統合させることが出来るかを考えた。 あと、SFでオープンワールドときたら、賞金稼ぎだよね。皆、一度はボバフェットになりたいなと思ったことがあると思うんだ。世界観の雰囲気は映画「ブレードランナー」からかなりインスピレーションを得ているけどね。―――この世界の大きさはどの程度でしょう? ノーム:ひとつのシーンはだいたい、『Asassin's Creed』と同等の大きさだよ。こうやって、業界全体の可能性を高めていくっていのも僕らの目標なんだ。―――全体的なプレイ時間は? ノーム:12時間~20時間かな。オープンワールドだから、プレイヤーによってだいぶ違ってくるんだ。本筋だけを追うのか、サブクエストも含めて全部プレイするかでね。―――技術的な面で新たな工夫をした点は? ノーム:ベースは、idtech4だけど、今作用にかなり改編を加えたんだ。だからもやはほとんど独自技術と言ってもいい位だね。特に、レンダリングの部分はゼロから作り直したと言っていい。ビジュアルエフェクトという点では、Real Time Screen Space Reflectionをコンソールゲーム機用として初めて採用したんだ。あとVirtual Texturingについては、id Softwareとほぼ同時期に僕らのほうでも開発・採用したよ。互いに情報交換をしていたわけではないんだけどね。―――パブリッシャーであるベセスダ・ソフトワークスはこのゲームに対しどんな印象を持ったんでしょう? ノーム:僕らとベセスダとの関係は本当に良好だよ。彼らが「どんなゲームを開発したい?」って聞くから、僕らのゲームコンセプトを提示したら、「ワオ!面白そうだね!じゃあ、やってみよう」っていう感じで話しが進んでいったから。凄く支援してくれているよ。―――では最後に日本のゲームファンへメッセージをお願いします ノーム:実は、僕は8カ月ほど東北大学に留学してたんだ。残念なことにそれはもう8年位前の事だからその時覚えた日本語はもうほとんど使えないけど。喋るのより聞くほうが得意なんだ。とにかく、日本が大好きだったよ。特に文化がね。その時の思いとかがゲームを開発していくうえで必ず僕に影響を与えたと思っている。だから、このゲームを日本の皆さんも気に入ってくれるとうれしいよ!―――ありがとうございました。
《中村彰憲》
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