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【CEDEC 2011】日本と"海外"について考える

CEDEC 2011と同時開催されている「ゲームのお仕事研究フェア」は経済産業省が後援し、ゲーム業界を志望する学生向けのセッションが実施されています。

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CEDEC 2011と同時開催されている「ゲームのお仕事研究フェア」は経済産業省が後援し、ゲーム業界を志望する学生向けのセッションが実施されています。初日の13:20~から、弊誌でも連載いただいているインターラクト代表取締役でゲームアナリストの平林久和氏が「海外のゲーム市場は今!」というタイトルで講演しました。

セッションは平林氏から沢山のヒントを示すような形で進行しましたが、本記事は筆者の主観を交えてセッションの内容から逸脱しながらまとめています。

■世界地図の中で考える

最初に示されたのは世界地図です(ちょうどこんな→http://www.stat.go.jp/data/sekai/h4.htm)。平林氏は古来から日本では、日本以外の全ての場所を"海外"と呼んできたと指摘。しかし"海外"はひとくくりできるものではなく、文化・言語・経済力・政策・国民性によって大きく違うと言います。

家庭用ゲームの3大マーケットである日本、北米、欧州を考えれば、単独で国であるのは日本だけで、北米は米国とカナダを指し、欧州は数えきれないくらいの国を含みます。市場規模はそれぞれ3500億円、1兆円、8000億円程度と推計されますが、この大雑把な数字は実際のところ意味を持たないのかもしれません。

アジアに目を向ければ家庭用ゲームの市場は日本以外ではほぼ存在せず、韓国と中国ではそれぞれ2000億円、4000億円規模のオンラインゲーム市場が広がります。また、ベトナム、インドネシア、インドといった国々は市場というよりはアウトソーシング先、あるいは開発における競争相手として存在感を持つようになっています。

平林氏は最後に"主観的なもの"と断りながら、北米・英国・北欧・ドイツ・フランス・南欧・中東・インド・中国・韓国・台湾・東南アジア・オーストラリア・南米・ロシアの各国のゲーム事情をまとめています。スライドを参照してもらえれば分かるように、一口に"海外"と言っても千差万別です。

■歴史の中で考える

"海外"と括るのを辞めて個別に考えようとしたとき、国ごとの違いをただ知るというのは表層的な理解です。平林氏は『Tennis for Two』に始まるビデオゲームの歴史を語りました。今表面的に現れている状況というのは歴史の延長線上にあると考えられます。各国の違いは各国の歴史の違いに起因します。歴史は置かれている環境によって大きく左右されます。

「『Tennis for Two』を開発したウィリアム・ヒギンボーサムは日本に投下された原爆の回路を設計した人物でもあり、技術の平和利用をしたいという気持ちもあった」

これは単なる美談ではありません。そもそもコンピューターの発展は政策的な軍事投資によって果たされたものです。『Tennis for Two』を作ったのはウィリアム・ヒギンボーサムかもしれませんが、作らせたのはコンピューターに莫大な投資を行ってきた米国の歴史です。また、戦争に敗れてコンピューターの発展が大きく阻害された日本で最初のビデオゲームが誕生する可能性は限りなくゼロに近かったと考えられるでしょう。

歴史が今を作るというのは、日本の家庭用ゲームを制限していた韓国でPCゲームが発展し、90年代後半のIT振興でオンラインゲームとして花を開いたという例でも説明できます。各国の市場を理解するということは、歴史や文化、考え方を理解するということです。

■相対化して考える

今やゲームはどこでも作ることができます。ゲーム開発者としてのライバルは世界中にいるわけです。日本と世界を相対化して考え、どこに優位があり、どこが劣るか、あるいは日本と世界ではどこが違うのか、知る必要があります。

振り返ると日本が得意としたのはハードウェアとソフトウェアが一体化したものでした。ゲームで言えば、両方を一体的にデザインする任天堂に対して、ソフトウェアの会社(マイクロソフト)が作ったXboxというような考えが出来そうです。

あるいは、どちらかといえば企画が得意で技術が苦手なのが日本かもしれません。技術革新が市場をリードする時代には弱いですが、それが飽和するであろう今後はチャンスが待つのかもしれません。


平林氏はセッションのはじまりに「一つの答えがあるわけではなく、皆が考える時代が来ている」と話しました。教科書的な答えが用意されている世界ではありません。自分と世界について考える必要があります。平林氏もセッション中にオススメしていた「学生のうちに短い期間でもいいから海外に行ってみること」これを筆者もオススメします。
《土本学》
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