ポール・W・S・アンダーソン監督に訊く
9月14日に映画『バイオハザードV :リトリビューション』が、全国公開となる。映画は日本の人気ゲームから生まれたバトルアクションだ。
2002年の『バイオハザード』以来、世界各国で圧倒的な支持を受け、本作はシリーズ5作目となる。シリーズが進むにつれ人気はますます拡大、『バイオハザードV リトリビューション』はこれまでを上回るバトルシーンが見どころだ。
このシリーズを第1作目から支えてきたのがポール・W・S・アンダーソン監督だ。来日した監督に、映画の人気の秘密、本作の見どころについて伺った。
『バイオハザードV:リトリビューション』
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
9月14日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー
http://www.biohazard5.jp
―― 映画「バイオハザード」シリーズが誕生して10年になります。今回を含めて5作品が作られてきました。この10年に社会の環境も変わっています。そうしたことは、映画に影響を与えているでしょうか?
―― ポール・W・S・アンダーソン監督(以下P.A)
それは確かにありますね。ひとつは主人公・アリスを演じるミラです。このシリーズは、いわばミラが中心となった作品です。彼女の環境も大きく変わり、それはアリスに反映しています。
今回、アリスのキャラクターが大きな変化を遂げました。私たちはこれまでのアリスを“バトルアリス”と呼んでいるのですが、Vではそれとは対照的な郊外の住宅地で主婦であるアリスが登場します。また、子どもが出て来ます。子どもの登場はミラが実生活で母親になっていることを反映しています。
そして子どもが巻き込まれることで、緊張感が増し、ゾンビに対する恐怖も大きくなります。バイオレンス映画でのアリスの新しい姿を描きます。
―― 過去10年間でシリーズの人気はどんどん拡大しています。シリーズ映画は時として人気を維持することがなかなか大変なのですが、「バイオハザード」シリーズの人気の秘密はどこにあるのですか?
―― P.A
映画を作るにあたっては、既にあるゲームの翻案をしているわけです。私たちはこうした作品が多くのファンの心を捉えていることを忘れてはいけません。
一方で、バイオハザードを知らない、ゲームプレイをしたことがない観客がいることも知る必要があります。映画が大きな成功をするには、年に数回しか映画を観ない観客、メインストリームの観客にアピールする必要もあります。
映画監督の仕事は、このふたつの全く異なった観客にアプローチすることです。
まず十分な予備知識を持った観客にもアプローチしなければいけません。しかし、私に言わせれば、多くの映画製作者はこうしたファンを十分知りませんし、ゲームをプレイしたこともありません。ゲームをせずに、ゲームを理解することはあり得ません。また映画の成功もありえません。
私はゲームを翻案するにあたり、ゲームをよく知っていますし、ゲームを大変リスペクトしています。これが私のアプローチです。
―― その時に重要なことはありますか?
―― P.A
もうひとつ翻案作品に重要なのは、これまでと異なった作品として映画を観客に届けることです。同じことを繰り返してはいけません。毎回、何か新しくて、エキサイテイングで、すごいなと思える要素を持たせることが不可欠です。
今回では、主婦のアリスです。これはこれまで誰も観たことがないものです。それがシリーズ全体のブランドを新しくします。バイオハザードの進化になります。
ですから私の映画は繰り返しでなく、何か新しいものを加えることをいつも意識しています。
―― 映画で非常に面白かったのは、まず東京のステージがあって、次にニューヨークのステージ、そしてモスクワのステージがあります。こうした段階的なストーリー運びは、いままで以上にゲーム的な要素をが取りこんでいませんか?
―― P.A
確かにそうした面はあります。
私は前作がヒットした時に、次の映画はグローバルにアピールするものにしたいと思いました。世界各地を登場させた壮大なスケールを演出したいと考えました。それが東京、モスクワ、ニューヨーク、ワシントンDCです。
ただ、そこには問題があります。これだけの場所を登場させようとすれば、アリスに大旅行をさせる必要があります。しかし、移動というのは映画的にあまり魅力的なシーンではありません。私はどうやってアリスを東京からニューヨーク、そこからモスクワに移動さるか考えました。
そしてアイディアを思いつきました。全てを偽物の世界にしてひとつに収めればいいというものです。確かにこれは、ゲームによく似ていると思います。
ゲームは、ひとつのレベルをクリアすると5秒で全てが変わってしまいますからね。
“ミラの変化がアリスも変えた”「バイオハザードV :リトリビューション」P・アンダーソン監督インタビュー 前編
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