GDCにて、昨年あたりからよく見かけるようになったフレーズFree to Play(F2P)のゲームデザインをテーマとしたセッションが催されました。壇上に立ったのはJoju GamesのJuan Gril氏、PlaydomのSteve Meretzky氏、FunsocketsのDave Rohrl氏の3名。題して、「Free to Play Game Design: A Year in Review」。
まず、"The Year in Social Games 2013"の"Social"にバツ印で"Free-To-Play"に。2013年からはF2Pの時代が到来するとしました。Facebookで勃興したソーシャルゲームも、2009年には幼児、2010年には少年、2011年には青年、2012年にはいい感じに仕上がった成年になり、2013年にはロマンスグレーの男性へと変貌したと写真で比喩。
続いて、市場の比較。2012年と2013年を暫定的な数値に基づき比べました。Facebookプラットフォーム作品のDAU(Daily Active Users、1日にサービスを利用したユーザー数。こうした分野ではしばしば用いられる指標)は2012年にZyngaが1位から6位まで独占し、2013年にはトップの座こそKing.comに明け渡したものの相変わらず上位を独占しています。一方、米国のiPhoneタイトルの売り上げトップ作品は、2012年こそZyngaが1位を獲得したものの、2013年にはSupercell・King.com・Mobage(!)と、なんとベストテン圏内から姿を消していることを指摘。
第2のトレンドは「超一流のSuperCell」。売上上位に食い込んだ『Clash of Clans』と『Hay Day』の画面を交えつつ、そのゲームデザインの優秀さを解説しました。教訓は、漸進的な革新を目指すべし・ゲームを磨き上げよ、ゲームのコアになるループ部分が完璧でないならリリースするな、の2点。カジュアルゲームはルーチン的なプレイが多いため、そこを妥協してはならないということです。
第4のトレンドは「協力(Chipping in)」。リリース以降売上上位をキープし続けている『Big Fish Casino』を例にそのスキームを解説。スロットやテキサスホールデム、ブラックジャックなど複数のゲームが混在しているタイトルです。ゲームデザインのリスクならびに学習曲線を減衰させられる、マネタイズモデルとしてよく認知されている、エコシステムとなりうるといったメリットがあるとしました。逆にデメリットとしては、パクられやすいこと、プレイヤーが新たなゲームの僅かな差異にすら抵抗を示すこと、数学能力が重要になることなどが挙げられています。
第5のトレンドは「寝てる間に圧勝(I'm Crushing You While You Are Sleeping)」。プレイしていない間に状況が他プレイヤーにより変化させられる要素です。教訓は、1: プレイヤーがゲーム内で組織立つために、コミュニティツールは常に上位にあらねばならない・2: 同盟/ギルド/部族はプレイヤーを団結させ、他者との関係を維持しようとする感覚を持つ・3: 社会的圧力=保持力。殺伐としているように聞こえかねませんが、要を得たレッスンです。