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コミュニティと共に成長するPhoton Cloudの戦略とは?・・・GTMF2013直前インタビュー

モバイルやブラウザゲーム向けのネットワークエンジンとして、全世界で3万本以上のゲームで採用されている「Photon Cloud」。ゲームエンジンのUnityに対応していることもあり、全世界で採用事例が急上昇中です。

ゲームビジネス その他
Photon Cloud、日本アンドロイドの会 秋葉原支部 Unity部のみなさん
  • Photon Cloud、日本アンドロイドの会 秋葉原支部 Unity部のみなさん
  • Photon Cloud powered by GMOクラウド
  • Game Tools & Middleware Forum 2013
モバイルやブラウザゲーム向けのネットワークエンジンとして、全世界で3万本以上のゲームで採用されている「Photon Cloud(http://photoncloud.jp/)」。ゲームエンジンのUnityに対応していることもあり、全世界で採用事例が急上昇中です。この注目ゲームエンジンがいよいよ日本に上陸し、20CCUのミニマムプランなら、無料で使用することができるようにもなりました。

もっとも日本ではまだPhoton Cloudの採用事例が少なく、ノウハウなどもほとんど集積されていない状態です。そこで手をあげたのが、ゲーム開発者コミュニティの「日本アンドロイドの会 秋葉原支部 Unity部」。なんと同コミュニティ主催で、UnityとPhoton Cloudを使ったGameJamが開催されたのです(6月29日から30日まで実施)。

このようにコミュニティと二人三脚で展開を進めるPhoton Cloudですが、その真意はどこにあるのでしょうか? 日本でPhoton Cloudのプロモーションとサポートを進めるGMOクラウドと、日本アンドロイドの会秋葉原支部Unity部のメンバーに対し、GameJamに先立って話を伺いました。

■参加者
GMOクラウド Photon Cloud運営事務局
エバンジェリスト 木村薫
プロダクトマーケティング担当 常名隆司
デベロッパーリレーションアソシエイト 中村康孝

日本アンドロイドの会 秋葉原支部 Unity部
部長 鎌田泰行
副部長 安藤圭吾
ホームページ・ネットワーク担当 水嶌友昭

■ネットワークエンジンのSDKにくわえて、オンラインサーバも提供

―――今日はよろしくお願いします。はじめにPhoton Cloudについて、概要を教えてください。

木村 簡単にいうとリアルタイム・マルチプレイヤー・クロスプラットフォームに対応する、オンラインゲーム開発エンジンです。Unity、corona、Marmalade、HTML5、.NET、Flashなど幅広いゲームエンジンに対応しており、Android、iPhoneやブラウザゲーム向けに簡単にオンラインゲームを開発いただけます。これまではオンラインゲームを作る場合、ロビーサーバなどを自分で立てる必要がありました。そういった手間をかけることなく、手軽にオンラインゲーム開発に挑戦いただけます。

―――Unity対応は嬉しいですね。とはいえ、すでに標準でオンラインゲーム機能が備わっていますが・・・?

安藤 はい。ただ、Unity側のネットワーク機能は自由度が高すぎて、ある程度の事前知識が必要になるんです。実際に2年以上前からオンライン機能をサポートしていますが、あまりUnityで作られたオンラインゲームが出てきていないことからも、状況がわかるのではないでしょうか。

木村 一方でPhoton Cloudならネットワークエンジン部分のライブラリがSDKとして提供されるだけでなく、肝心のサーバシステムもパッケージで提供されます。価格も同時接続ユーザー数が20人以下のタイトルなら、メールアドレスの登録だけで半永久的に無料でご利用いただけますので、個人や学生の方から大手企業まで、幅広い方々に安心してご利用いただけるサービスとなっています。日本リージョンでは弊社GMOクラウドのクラウドサービス「GMOクラウド Public」をインフラとして使用いたします。

―――それはおもしろそうですね。どういうきっかけで御社で扱われるようになったのですか?

木村 Photon Cloudを開発しているのはドイツのExit Games社ですが、海外のゲームイベントで、たまたまブースに立ち寄ってお声がけさせていただいたのがきっかけです。話を聞いてみると先方では日本での展開を考慮されていなかったため、弊社でマーケティングやローカリゼーション、サポートなどを担当させていただくことになりました。

―――反響はいかがでしたか?

木村 4月15日に東京で開催されたUnity主催のカンファレンス「Unite Japan」で日本でのサービスを発表したのですが、非常に多くの問い合わせをいただきました。それまではあまり日本語の情報がなくて、みなさん自分で海外サイトなどを検索されていましたから。とりあえず日本語で公式ホームページがあって、サポートが受けられるだけでも嬉しいと言われます。

―――サポートはどのように行われるのですか?

木村 弊社が窓口となって、お客様と開発元のExit Gamesを仲介する形となります。

―――主な採用事例を教えてください。

木村 Photonには、お客様が自社でサーバを立てる必要がある「Photon Server」と、サーバも含めて提供される「Photon Cloud」という二つのサービスがあり、このうち「Photon Server」の採用事例としてAppBank GAMESの『ダンジョンズ&ゴルフ』があります。もっとも、これは弊社が関与する前の話となりますが。

■Photon Cloudについて知るならGameJamが一番!?

―――それにしても、どうして「日本アンドロイドの会秋葉原支部Unity部」(以下Unity部)主催でGameJamを開催することになったのですか?

木村 はじめに部長の鎌田さんから、お問い合わせがあったんですよね。

鎌田 そうですね。日本でPhotonの名前が周知されるきっかけとなったのが、Unite JapanでAppBank GAMESさんが行われた『ダンジョンズ&ゴルフ』の講演だったと思うのですが、それからしばらく情報が何もなかったんです。Unityのユーザーコミュニティの間でも注目が高まっていたので、「おもしろそうだけど、実際どうなんですか?」と質問しました。

木村 実際に我々もPhoton Cloudをマーケティングするにあたり、コミュニティの皆さんに支持していただくことが最も重要だと思っていましたので、一緒に勉強会やワークショップができればいいなという話をしていました。だったらGameJamをやった方が早いだろうということになりまして。Unity部主催で、GMOクラウドが会場や設備をバックアップする形で、「Photon Cloud × Unity GameJam」の開催が決まりました。

―――なるほど。ちなみに、Unity部についても簡単に説明してもらえますか?

安藤 発足したのは去年の5月くらいで、当時からコミュニティの中でもUnityが流行っていたので、みんなで技術力を高めるために勉強会などを開きたいねということになり、発足しました。これまでハッカソンやGameJamなどを開催したり、昨年7月に秋葉原で「アキバ大好き祭り」にブース出展したりしました。こちらは今年も出展する予定です。

―――参加者は、どういう方が多いのですか?

安藤 ゲーム会社で業務としてUnityを使われているプログラマの方が多いですね。最近ではだんだんと、ゲームデザイナーの方にも興味を持っていただけているようです。

―――Unity部でもPhoton Cloudに注目されていたのですか?

安藤 そうですね。もともと昨年8月にアムステルダムで開催されたUnite2012でPhoton CloudがUnityに対応したという発表があり、一気に注目度が上がりました。続いてUnite Japanで、Photon Cloudが日本語で対応したという発表があり、日本でもコミUnityが活性化しました。でも、なかなか使い方がみんなわからないんですよ。だったら手っ取り早く覚えるために、GameJamをしようということになったんです。

鎌田 おかげさまで40人の参加者枠がいっぱいになりました。むかしオンラインゲームにはまっていた開発者がけっこういて、彼らがいよいよ自分たちでもリアルタイムのオンラインゲームが作れるようになったということで、わくわくするようです。

―――参加者の属性はどういった方々でしょうか?

安藤 Unityを普段から業務で使っているプログラマが1/2、ゲームデザイナーやアーティストが1/4、残りがその他といったところです。中には学生さんもいます。また東北や関西から参加登録をされている方もいます。

―――GameJamに先立ってPhoton Cloudの事前勉強会を行われたそうですが、いかがでしたか?

安藤 いや、けっこう大変でした。みんな「わからない、わからない」の連続で。そのためスタッフチームを10名くらい用意して、各チームに最低1人はつける予定です。そのほかにも事前にドキュメントなどを、もっと用意する必要があるなと。また当日はスタッフチームで技術サポートを行う予定です。何かわからないことがあれば、スタッフチームみんなで知恵を絞って解決して、その場で対応します。

―――GlobalGameJam2013でもUnityでオンラインゲーム開発に挑戦したチームがありましたが、時間切れで実装できなかったチームもあったようです。Photon Cloudや実装ノウハウがたまれば、今後は期待できそうですね。

安藤 そうなるようにがんばりたいですね。

■「お金がないからゲームが作れない」なんて寂しい思いはさせたくない

―――それにしても、コミュニティと二人三脚で広げられていくというのは、おもしろいですね。

木村 そうですね。実際に弊社でもPhoton Cloudを運営していく中で、具体的にお客さまからの要望が聞けますから、GameJamというアイディアは渡りに船でした。

―――Photon Cloudならではの機能はありますか?

木村 独自機能というわけではありませんが、Unityのネットワーク機能を補完するものとして、フレンド機能やルームの立ち上げなどのAPIがあります。

常名 もともと開発元のExit Gamesは『World Golf Tour』というブラウザゲームのエンジン周りの開発と運用を行っており、これがPhotonのベースとなりました。さらに相乗効果のあるマッシュアップサービスを持つ企業とつながりをもって、互いに成長しながらPhotonの開発が行われています。それぞれに得意な分野を分担して、新しい機能が作り込まれているのです。そのため毎月細かいアップデートが繰り返されています。

―――無料の料金プランが用意されているのも驚きました。

木村 Photon Cloudを使ってもらって、ゲームがヒットすれば自ずと有料プランに移行していただけると思っています。また有料プランにも月商100万円以下の個人や団体・企業などが選べるインディプランと、それ以上のプロプランやエンタープライズ向けサービスまで幅広くご用意しています。インディゲームの台頭をはじめ、スモールスタートでビッグヒットする可能性が広がっていますから、夢と希望を感じています。

常名 Exit Gamesも無料プランを作った理由として「お金がないせいでオンラインゲームが作れないといった、寂しい思いをさせたくない」と言っています。日本でも「ヒットするか否かわからないゲームに大きなリスクをかけられないが、インディプランや無料プランがあってよかった」と、ちょくちょく言われますね。

―――ゲームの開発地域もどんどん広がっています。

木村 レイテンシーの問題もありますが、たとえば日本とインドでオンラインゲームなどが手軽にできたらいいですね。またPhoton Cloudはオンラインゲームに焦点を当てていますが、他に無料通話アプリなどのインフラにも利用いただけます。どんな変わったアプリやサービスが出てくるか楽しみです。

―――海外向けにもゲームを出せるのでしょうか?

常名 はい、日本リージョンでは弊社のパブリッククラウドをご利用いただくのですが、Exit Gamesではアムステルダム、アメリカ東海岸、シンガポールにPhoton Cloudのサーバを用意しています。接続先はパラメータを書き換えるだけですから、簡単に海外配信が可能です。

―――逆に海外の事業者が日本でサービスしたい、という例も増えそうです。

木村 そうですね。もっとも海外のアプリ事業者様からは「日本で配信したいのでパブリッシャを紹介して欲しい」という声も多くいただいています。幸い弊社にはグループ会社で「スピード翻訳 by GMO」がありますので、そこもあわせてご紹介などをしています。ローカリゼーションの壁さえこえれば、みなさん日本市場には興味をお持ちですし、おもしろいオンラインゲームがどんどん入ってくるのではないでしょうか。そうしたクロスオーバーは増えればと思います。

―――では最後にそれぞれ、今後の抱負や意気込みなどをお聞かせください。

木村 弊社でもUnity部をはじめ、ゲーム開発者コミUnityのご協力をいただきながら、Photon Cloudが日本で一番利用実績の多いネットワークエンジンにしていきたいですね。そしてアジアでも一番といわれるものに育てていきたいです。

安藤 Unity部では今後もPhoton Cloudの導入セミナーなど、チュートリアル的な勉強会を開催していきます。また確定ではありませんが、全国でも同様のセミナーを展開していきたいですね。

また最後になりましたが、7月19日に大阪、7月23日に東京で開催されるゲーム開発者向けツール & ミドルウェア展示会「Game Tools & Middleware Forum」でもブースを出展いたします。GameJamの成果をはじめ、事例紹介なども行いますので、ぜひ足をお運びください。

―――それは楽しみですね。ありがとうございました。

Game Tools & Middleware Forum 2013
2003年からスタートし、今年で11年目となるゲーム開発者向けツール&ミドルウェアの展示会「Game Tools & Middleware Forum」が今年も、7月19日(大阪)と23日(東京)にて開催されます。次世代機やモバイル向けに様々な製品が登場する今年のGTMF。入場は無料ですが事前登録が必要。ぜひチェックしてみてください。
http://www.info-event.jp/gtmf2013/regist/


また、 8月21日から22日までの3日間、パシフィコ横浜で開催されるコンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2013「CEDEC2013」では、展示、セミナーの他、実際にゲームを作成するワークショップを行いますので、こちらも是非お越しください。スケジュールはこちら
《小野憲史》
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