現地時間11月13日、次世代機PlayStation 4ローンチイベントのためにニューヨークを訪れていた(株)コナミデジタルエンタテインメントの小島秀夫監督に、シリーズ最新作『METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN(メタルギア ソリッド V ファントムペイン、以下MGS V TPP)』と、日本での発売日が決まったプロローグ作品『METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES(メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ、以下MGS V GZ)』について、インタビューで詳しい話を伺うことができました。
――では、『MGS V TPP』と『MGS V GZ』を別々の作品にした経緯と理由を改めて教えてください。
小島監督: 本当は一つなんです。『MGS V TPP』のプロローグ章の名前が『MGS V GZ』ということです。『MGS V TPP』が本当のオープンワールドで、『MGS V GZ』で使われているマップの何百倍もの広さがあります。しかし、次世代機のローンチには当然間に合いません。どうしようと悩んでいたところ、お待たせしている世界中のファンやメディアの皆さんから出してほしいという声があって、とりあえずはプロローグだけをローンチの時期に合わせて遊んでいただきたいと思って、先行発売にしました。
小島監督: ストーリー的には『MGS V TPP』のプロローグが『MGS V GZ』です。ハリウッドの映画でいうと、冒頭の15分、20分で何か一つ事件があって、バーンとタイトルがと出るのと同じ感じです。つかみの導入部分ですね。『MGS V TPP』は、今までのメタルギアの世界観と違い、すごくダークな世界で始まって、キャラクターたちも今までと少し違ってすごく傷ついていて、そこに至るまでの大きな事件が『MGS V GZ』になっています。
『MGS V GZ』が1975年の話で、大きなことが起こります。そこはプレイしてくださいね。(笑) そして9年後に 『MGS V TPP』が始まります。ここは今までのメタルギアと比べて、かなり暗いトーンとテンションで描かれます。ゲーム的には本当のオープンワールドなので、すごく広いです。『MGS V GZ』はどちらかというと小さめの基地をミッションに使うので、ゲームのチュートリアル的な部分を考えています。
小島監督: 細かいこだわりは作りたいのですが、オープンワールドでなかなか……できるところまでやりますけど、あまり期待してもらってもなという。お笑いの要素の部分は、先ほど言ったように、物語がすごいダークなトーンなので、そこにダンボールがぽこっと出てくると非常に違和感があるので、最初は入れないでおこうと考えていました。そのため『MGS V GZ』には当然出てこないのですが、そういう話をしたら、世界中のみなさんから「ダンボールくらいは入れてくれ」という声がありました。(笑) ということで本編の『MGS V TPP』には入れようと思っています。細かいギミックは頑張って入れて行きますけど、どこまで入れきれるかはちょっと分かりません。
小島監督: 日本版はこれですね(スネークとカズが写っている)。そして海外版はまだ決まっていなくて、スネークだけかもしれません。実は、PSPで発売された『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』は日本ですごい売れたのです。PSPというのは10代の若者も多いと思うので、今メタルギアを彼らに聞くとみんな『PEACE WALKER』を知っている。それで日本では、彼らはたぶんメインのユーザーになるので、『MGS V GZ』とストーリーが続きということもあり、(パッケージビジュアルに)カズを入れています。カズ大好きなんです。ただ海外のユーザーは、あまり『PEACE WALKER』やっていないんですよ。HDコレクションには入っているのですが、意外とやってないので「このおっさん誰」っていうので、カズは外すかもしれません。(笑)
『MGS V GZ』というタイトルで、見たらわかると思いますが、ここでとんでもないことが起こります。この事件があって、スネークをはじめ、周りのメタルギアのキャラクターたちが体も心も傷を負って、落ちるところまで落ちるんです。その9年後に彼がビッグボスになるというものすごいことが起こるので、そのメインビジュアルにした時に血まみれの二人という感じです。