札幌のゲーム開発者コミュニティ「Kawaz」。社会人と学生が約半々の構成で、GlobalGameJamの札幌会場を約80名の大所帯で開催するなど、国内有数の開発者コミュニティとして、活発に活動しています。BitSummitでもKawaz内の「TeamVOX」が新作ゲーム『VOXQUARTER(オクスクオーター・仮)』の開発版をプレイアブル出展しました。『オクスクオーター』はJRPGとインタラクティブサウンドが融合した意欲作です。開発ブログやYoutubeでのPV公開など、情報公開も積極的に進められています。最大のポイントはモンスターとのコマンドバトルに特化していること。JRPGなのに街もNPCもアイテムも買い物もダンジョン探索もパーティプレイもありません。ゲームは次々に登場するモンスターとバトルして、レベルアップすることだけに特化しています。一方で、独自のコマンド選択システム「コマンドグラフ」を核としたバトルシステムがユニーク。各コマンドは網の目のように連結されており、マウスでコマンドが記された「オクスボール」を転がすようにして、コマンドを選んでいきます。毎ターンごとに隣り合ったコマンドにしか移動できないため、「強攻撃や大防御はそれぞれ離れた場所にあるため、通常攻撃に比べて選択するリスクが高い」「炎魔法は強力だが、防御や回復が周囲にない」など、バトルシステムだけでハイリスク・ハイリターンを表現しています。現バージョンではコマンドは9個のみですが、戦略性を出すために総コマンド数は30~70個程度をめざしています。コマンド入力がBGMと連動しており、選択したコマンドによってBGMがさまざまに変化する点もポイント。1ターンは4小節で構成されており、あるターンで選択されたコマンドが、次のターンで実行される仕組みです。これにより、バトルを進めながら音楽を演奏する感覚を演出しています。BitSummitではiPhone版としてデモされましたが、ハードの選択はゲームに適した操作体系で決める予定とのこと。ゲームエンジンにUnity、サウンドミドルウェアにADX2LEが使用されており、両者が動くハードであれば、どれでも可能性があるそうです。本作は『VOXQUEST』『VOXCHRONICLE』に続く第3弾で、過去2作はすでにApp Storeでフリーソフトとして公開済み。本作の公開は未定ですが、「少なくとも2014年中ではない」そうです。コアメンバーはゲームデザイン・プログラム・作曲担当の@geekdrums氏以下3名。じっくり時間をかけて、おもしろさと夢を詰め込みたいと語っていました。グラフィックデザインも「インディ」を意識すると共に、ゲームを愛する人に強く届くようなテイストを心がけているそうです。一方でモンスターは『ドラゴンクエスト』『女神転生』などに影響を受けているとのことで、その和洋折衷ぶりが独特の世界観を醸し出しています。目標は毎年3月にGDCで発表されるIGF(Independent Game Award)で、オーディオ賞をとること。日本発のインディゲームがIGFで受賞するか、今から目が離せません。