しかし人が集まれば問題が起こるもの。SNSなどのソーシャルメディアでは、訪れたファンの鑑賞マナーについて注意喚起する呟きが拡散されているようです。
そういえば、過去の歴史ブームのさいにもありました。ゲームに登場する偉人ゆかりの史跡で騒いでしまったり、ゲーム設定上好きなものをお墓に供えちゃったり。なんということだ、歴史は繰り返してしまうのか。
東京国立博物館の Ow.lyより獅子王
そこで『刀剣乱舞』に登場する「獅子王」「鳴狐」「三日月宗近」「厚藤四郎」の4本を所蔵している東京国立博物館に、現在の展示室の状況についてインタビューを行いました。刀剣に限らず、博物館における鑑賞の基本マナーを知っておいてソンはありません。大好きな刀剣がある場所だからこそ、マナーを守ってかっこよく鑑賞したいですね。これから博物館に行こうと思っている審神者の皆さん、ぜひご参考ください。

気になるのは本当にファンが足を運んでいるのかという点。元の刀剣にはさほど注目が集まらないのでは……?
「刀剣の展示室について、おおよその数ですが、平日で100人、土日祝で150人の方が来場されています。やはり、今まで刀剣の展示室にはあまり見られなかった若い女性が多いです」
平日で100人!!人気は本当だった……。
人が増えればメリットもデメリットも生じます。そこで現在までのメリットとデメリットについて話を伺いました。これを読めば鑑賞の心得がおのずと分かってくるはず。
■メリット
ゲームがきっかけで、本物の刀剣を見るために熱心に自分で予習して来ている方や、今までに博物館に来たことがないような若い方が目当ての刀剣だけでなく他のジャンルの作品(仏像や絵画、着物など)もじっくり楽しんでいる様子が見受けられ、今後、当館のリピーターとなりうる層の獲得ができたのではないかと考えられます。
■デメリット
現場ではとくにクレームやトラブルは起きていませんが、Twitterなどでは、従来の来館者から「スマホのカメラのシャッター音が気になる」等のコメントが見受けられます。
また、熱心に予習されてくる方がいる反面、ぶしつけに「獅子さまはどこですか?」「おじいちゃんはでていますか?」等、ゲームファンでしかわからない通称などで作品の展示場所を聞いてくる方もいるらしく、対応するスタッフが困惑する場面があるようです。「刀剣乱舞」がブームになっていることは周知しておりますが、ゲームキャラクター名と当館での展示作品名称が異なるため、作品の特定が難しいこともあります。せめて、「刀剣の展示室はどこですか?」など、目的を明確にお尋ねいただければと思います。
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さすが審神者の皆さん、しっかりと勉強してらっしゃる。東京国立博物館にはお目当ての刀剣が作られた年代と同じ時代の絵画や仏像もありますから、キャラクターの造詣を深めるためにも、他の展示スペースも見なけりゃソンですね。
東京国立博物館では禁止されていない場所では写真撮影は基本OK。ただし、撮影時のマナーには気をつけたいところですね。スマホでの撮影もなるべく音を立てないよう気をつけたり、消音したデジタルカメラで対応したりしましょう! また、撮影したいのは自分だけではありません。譲り合いの精神も大切ですね。
では実際に鑑賞する際のマナーはどうすればいいのでしょうか?
「当館WEBサイトにも「お客様へのお願い」「よくある質問」にも記載してあるとおり、他のお客様の鑑賞の妨げになりうる、ヒールなど足音の響く靴や、撮影の際はカメラのシャッター音などにご注意いただくこと、作品保護のため、写真撮影の際はフラッシュの使用はできないこと、メモを取る際はインクの出るペンではなく、鉛筆をご使用いただくこと、展示室内での飲食は禁止など、基本的なマナーにご留意いただければと思います」
特に写真撮影についてはシャッター音だけでなく、フラッシュの使用についても注意しなければなりません。作品の劣化を防ぐためにも、デジカメの設定が「オート」になっている方は「発光禁止」に設定してから行きましょう。
最後に気になるのは刀剣男士の中でも「おじいちゃん」の愛称で人気の「三日月宗近」の展示予定。「2015年度の刀剣の展示予定については、現在策定中です。「三日月宗近」が展示されるかどうかは現状では未定としかいえません」
残念。しかし愛知県の徳川美術館では、問い合わせを受けて「名物 鯰尾藤四郎」の展示が実現しました。要望があればあるいは……。
最後に、「当館では、本館1階13室「刀剣」、本館2階5・6室の「武士の装い」にて、常時、所蔵品や寄託された刀剣の名品を展示しています。およそ3ヶ月ごとに展示替をしていますので、季節ごとにご来館いただければ、新しい作品に出会えると思います。お目当ての作品が出ているかどうかは、当館WEBサイトの展示作品リストをご参照ください」とのことでした。
せっかく刀剣に興味を持ったなら、色々なものを見て目を肥やしたいですよね。鑑賞の心得やマナーを胸に刻み、いざ東京国立博物館へ! 実物の刀剣を見に足を運んでみてください。
<東京国立博物館HP>
http://www.tnm.jp/