──発売したばかりですから、問題のない範囲で2巻の見どころなどを教えてもらえますか。
得能氏:ラストですかね…最初から決めていたラストにもうワンテイスト付け加える結果になりましたが、そこまで描けてよかったな、と思っています。そしてこれからまた続けていけるというのもありがたいですね。
──おお、期待が募ります! ちなみに1巻から2巻へ進んだことで、大きく変化した点などはありますか?
得能氏:大きな変化…かどうかはわかりませんが、1巻では青葉の成長がメインですが、2巻は青葉だけでなく上司や先輩にもたくさん未熟なところがあって、成長しようとしているってところを含めようと思って描いてました。

──物語に更なる拡がりが加わったわけですね。ところで「背徳感が足りない」との指摘から生まれた今回の表紙ですが、特に意識したポイントなどはありますか?
得能氏:いや、もう、最終的には担当に、青葉とコウのキャラ考察メモというかまとめプリントを渡されて、心情やらなんやらかんやら、それが見えるようにといろいろ試行錯誤した結果なので、ほぼほぼどこも意識していますね。
でも少なくとも、担当には自分が漫画で伝えたかったことは理解してもらえてるとプリントを見て思ったので、その点は嬉しかったですね。「背徳感が足りない」の他に「レジに持っていくのをためらう感じ」とも言われたので、一般書店で売る気があるのか謎ですがね(笑)。
──「持っていくのをためらう表紙」というテイストは珍しいですね(笑)! ちなみに裏表紙や表紙カバーを外した内側も気になりますが、今回はどんな感じのものですか?
得能氏:裏表紙などは、出番も多く人気のあったキャラを配置しました。ひふみが本当は1番人気があるかな、といったところですが、2巻の内容的に次巻以降でいいかなという判断です。
表紙は今回も漫画ですが、最近よく見かける横長の4コマを採用しました。むしろこっちの方が描きやすくて、こっちに移行したいくらいですね…。

──あくまで予定ではなく可能性のひとつで構わないので、「NEW GAME!」の今後の構想などをお聞かせください。また、ちょっとしたスピンオフ的な話を描きたいというお気持ちなどはありますか?
得能氏:1~2巻は青葉がすでに開発中のラインに配属されてゲームを作るお話でしたが、3巻からは0からゲームを作っていくことになります。過去編のスピンオフはそうですね…たぶんケンカなどもあり、ドロドロした部分を描くことになってしまい「NEW GAME!」の方向性とそぐわないので、やることはまずないですね。やれるとしたら青葉の学生時代とかでしょうか。どうしてわざわざ高卒で就職したのかとか。
──学生時代、気になりますね。では逆に、「NEW GAME!」がゲーム化するとしたら、どんなものになって欲しいですか? また、オリジナルのゲームを企画する機会がもしあったら、どんなゲームを作ってみたいですか?
得能氏:ゲームは作るよりやる方が好き!という結論が自分の中で出ているので、あんまり何がしたいというのもないですね。友達とチーム単位で対戦したりするアクションゲームで、しっかりあいつは誰だって認識ができて、反射神経ゲームになりすぎない感じで突発的な事故も起こりやすいゲームが、よく盛り上がるので好きなのですが、それこそ作るよりやりたい方が大きいですし(笑)。「NEW GAME!」がゲーム化するとしたら…シミュミレーションゲームしか思いつかないですね…。
──読者の方の中には、ゲームを制作する仕事や漫画家を目指している人もいると思います。技術面が必要なのはもちろんですが、実際現場に立ったことで気付いた「実はこれがあるといいかも」といったスキルなどはありますか?
得能氏:対人スキル(コミュ力)が1番大事かと思います。これは「NEW GAME!」のテーマでもあり、 人間関係が上手くいっているだけで仕事も楽しいのではないか、という想定のもとやっています。もちろんそれは、先輩・上司からの配慮もとても大事で、新人上司おたがいに歩み寄って、初めて成立する関係だと思います。片方だけが歩み寄ってもつらいだけですからね。

嫌いな上司がいたら、論破して一蹴するのではなくて、上手く味方につけて自分の手のひらで転がしてやるくらいの気持ちがあったほうがいいのかもしれません。青葉が無自覚にそれをしようとしていますね(笑)。
──なるほど、言われてみると確かに!(笑)
得能氏:それは漫画家でも同じで、編集さんと仲良くなると、漫画作りもとても楽しくなります。技術は、向上心があればあとからいくらでもついていくかと思います。
──ゲームや漫画作りだけでなく、どの仕事でも役立つ心がけですね。ところで、今後描きたい漫画や、やってみたい仕事などはお考えですか? 例えば「NEW GAME!」では果たせなかった「ほのぼの社鬼漫画」など(笑)。
得能氏:「ほのぼの社畜漫画」は…むしろ男キャラがいないと難しいかもしれません。酷いことをしても男だと笑えるけど、女性だと笑えないことって結構あるので…。アニメの「SHIROBAKO」がそういうとても上手いバランスをとっていると思います。まぁ、労働ものはこの作品以上はやらなくていいかな、と思っています。
今後描きたいのは、子供向けアニメでいう、ラストに変身・戦闘・ダンスシーンなどをいれて毎話テンプレの構成があるお話が好きなので、それを漫画でやれないかなぁとは思ってます。変身などはアニメだからこその演出なので、漫画でそれに置き換えられるものはないかなとは、考えてます。まぁキャラが好きになれれば僕は万事OKなので、テーマはなんでもいいですね。
──新たな展開も楽しみです。ちなみに、憧れている漫画家さんや、いい意味で意識している漫画作品などはありますか?
得能氏:たぶん「ARIA」を読んでいなかったら日常漫画を描いていなかったので、天野こずえ先生は尊敬しています。イラストレーターになりたくて、漫画家になりたかったわけではないので、漫画家に憧れとかはないんです。なので漫画に対しては変なライバル心がなくてラクなので、メンタル維持には助かってます。イラストレーターのほうがなんか見ていて嫌ですね(笑)。
──では、「こういう漫画を描いていきたい」「こんな漫画家になりたい」と目指している形や目標などはありますか?
得能氏:今後も楽しくお仕事をしていきたいですね。その環境作りや、自分がやってよかったなと思える作品を出していきたいです。

──今後のご活躍も期待しています。それでは最後にメッセージをお願いします。
得能氏:皆さんに盛り上げて頂いて、こうしてインタビューの依頼までくるようにもなりました。今後も頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!


(C)得能正太郎/芳文社