
「男子心」、これは「乙女心」の男子版だと思ってください。男ではなく、男の子です。少年時代に誰もが持っていた「かっこいい」ものに対する純粋な憧れや興奮。それを刺激するカメラワークが「ガルパン」のあちらこちらに散りばめられています。

隊列を乱すことなく一体になって動く戦車隊をダイナミックに俯瞰するカメラワーク、車体をえぐるようにぶつかり跳弾してく砲弾を正面から捉えるカメラワークなど、ガルパンでは「ハラショー!おぉ、ハラショー!」と叫びたくなるようなカッコイイ魅せ方がいっぱい。そんな手に汗を握るようなシーンが何度も繰り返してやってくるのですから、興奮するなというのが無理な話です。

あとは車内の様子の見せ方がうまいことも注目ポイントですね。戦車という特殊な構造体の内部空間が的確に描き出されているので、外部から車体を映しているときでさえキャラクターたちがどこにいるのかがわかり、彼女たちの存在を感じられます。アニメの中の世界で描き出される空間が正確にイメージできるということは、つまりそれだけ世界観に浸りやすいということですね。

ガルパンの世界はリアルな描写とファンタジーな描写がバランスよく配合されたミラクルワールド。 短時間のうちに雪の下に戦車を隠す、重量級の戦車を他戦車で牽引して坂を登るなど、「そんなのありえないだろ!」と驚くような表現が頻繁に登場しているのも面白いところ。

例えばイタリア戦車「セモベンテM41」とドイツ戦車「III号突撃砲F型」が激しいぶつかりあうシーン。戦車同士が正面から激突!主砲身の先を突き合わせて、ゼロ距離砲撃戦を繰り広げる様子はさながら時代劇の殺陣のような激しさ!それから「ガンダム」の高速宙間戦闘、あるいは「ドラゴンボール」のサイヤ人同士のバトルよろしく、距離を取っては詰め、隙あらば砲撃を浴びせ合うという文字通りの接戦で魅せてくれます。

どう考えても「そんなの現実じゃありえないよね」とツッコミたくなる画ですが、正々堂々と正面から力と力でぶつかり合う脳筋的な描写は適切な理由付けがあれば“だからこそ”の熱いものがありますよね。興奮度を高めてくれる迫力満点のカメラワークも素晴らしいものでした。