■キャラクター
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まず、リード3Dキャラクターアーティストを務めた黒坂氏による、『FF15』のキャラクター作成に用いられた技術や作業工程の説明からスタート。
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キャラクターのデータ概要。
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物理ベースのBRDF(光の反射)モデル。クラシカルな物理ベースシェーディングだが、『FF』ナンバリングタイトルとしては採用は初となる。
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ランタイム描画には複雑なレベルディフェーズが必要となった。
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アイシェーダーの比較。表面的な反射はそのままに角膜が屈折しているという疑似的な屈折表現を行っている。
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スキンシェーダーのオン/オフ比較。
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ヘアーシェーダーのオン/オフ比較。ヘアースペキュラー(ハイライトによる映り込み)にはノイズマップによってディテールが表現されている。
ヘアーシェーダーはノイズの効果を少なくするとスペキュラーの範囲が狭くなり、ノイズ効果を強くするとスペキュラーの拡散効果が強くなります。今回のヘアーシェーダーでは、各キャラクターは共通のノイズマップが使用されており、同様の効果が出るように調整されています。
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ヘアーシェーダーによる疑似バックスキャッターのオン/オフ比較。髪の毛は光の透過度が高いオブジェクトであるため、物理的な特徴を再現するのが難しい。
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キャラが背面から光を受ける状態。髪の毛のアウトラインに明るいエッジが立っている。キャラが影の中に完全に入るとそのエッジはなくなる。
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今作のキャラクターは0~7までの関数を持っている。
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カメラが引いていくとキャラがどんどん切り替わっていくが、ゲーム中ではほとんどわからないようになっている。
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チャレンジの項目。黒坂氏は打倒プリレンダを掲げていた。
日々進化するプリレンダーの技術をキャッチアップして組み込んでいくことが重要と語る黒坂氏。『FF15』では、ゲームパートのチームとCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』のチームが共同で開発を行っており、ハイエンドで培った技術やワークフローがチーム内で共有されてグラフィックの品質向上に大きく貢献しています。
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簡素なソリッドモデルを使いプリレンダとリアルタイムレンダ両方の結果を比較。
それぞれのモデリングを比較し、情報を一つ一つ整理しながらエンジニアに要望を伝えていきます。最終的には、データサイズが最適化されたリアルタイム用アセットとプリレンダの比較を行うのだそうです。
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プリレンダリングとリアルタイムレンダリングによるシドニーの比較。
アーティストとして両方の作業に関わっている黒坂氏は、長所と短所を実感していると語ります。プリレンダに追い付くのは非常に大変だったとのことですが、比較できるようになったということは両方のテクノロジーが近づいているのだとしています。
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キャラクターアセットの基本的なワークフロー。
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オクル―ジョンマップを生成するAOベイクツールの画面。このツールは短時間で焼き付け直せるため、修正のオペレーションサイクルを短くすることができる。
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服のオクル―ジョンマップ。法線マップを考慮してベイクするので、高解像モデルを必要とはしない。
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従来のキャラクターアセットは、高解像度モデルの情報やテクスチャベイク、法線マップ、オクル―ジョンマップ、DCCツールやミドルマップで同時に焼いて自動で抽出を行っていましたが、『FF15』では最終的な段階でオクル―ジョンマップを生成できるようにツールの開発が行われています。
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シェーダーワークのカテゴリ。
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グラフィカルにシェーダーをカスタマイズできるというシェーダーエディター。アーティストがゲーム要件に応じて、カスタマシェーダーを作成することができるため、スピーディに作業することが可能。
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シェーダーエディターを使用すると、マテリアルカスタムで人間が凍るような表現などができる。
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ヘアワークフローの流れは、アセットデータフローの流れと同じである。
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2Dのラフイメージがあって、それを基にリファレンス資料として実際のマネキンにウィッグをつけて撮影が行われている。髪の毛の構造を深く理解し、後の作業がやりやすくなるため。
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ヘアリダクションツール画面。ポリゴン生成ボタンを押せば、グループ化単位のビルボードメッシュの生成が可能となる。
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グループ化した複数のカーブを平均化して最後にカーブを生成、そのカーブに対してポリゴン生成している。すべてのヘアカーブを平均化するのは大変であるので、単純にカーブを複数選択してポリゴン生成していくほうが安全だと黒坂氏は説明する。
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最終的な結果。
髪の毛はキャラクターを表現する重要な要素ですが、大変なコストがかかるとされています。『FF15』では多くの工夫がされていますが、まだまだ改善の余地はあると黒坂氏は語っています
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