武蔵の宝具、その由来

最後に改めて『FGO』の武蔵というキャラ、とりわけ彼女の技にスポットを当ててみたいと思います。
彼女の宝具は、「六道五輪・倶利伽羅天象(りくどうごりん・くりからてんしょう)」。
この名は、武蔵が晩年になって書き上げたという「五輪書」に由来しています。「五輪書」は、「地」「水」「火」「風」「空」の5つに分けられている兵法を記した巻物で、概要は以下の通りです。
- 「地の巻」:まっすぐな道を地面に書くということになぞり、これまでの生涯、兵法のあらましが書かれている。
- 「水の巻」:「二天一流の水を手本とする」剣さばき、体さばきを例えつつ、二天一流での心の持ち方、太刀の持ち方や構えなど、実際の剣術に関することが書かれている。
- 「火の巻」:戦いのことを火の勢いに見立て、個人対個人、集団対集団の戦いも同じであるとし、戦いにおいての心構えなどが書かれている。
- 「風の巻」:それぞれの家風などのことを「風」と例え、他の流派について書かれている。
- 「空の巻」:兵法の本質としての「空」について書かれている。
「地」~「風」までは、概要でなんとなくお伝えできるかなと思うのですが、「空の巻」については「何のことやら?」と私自身が首を傾げてしまいました。
こちらの「空の巻」は、武蔵が武士としてたどり着いた到達点と言われています。色々と文献を読み漁った上での私なりの解釈になってしまうのですが、兵法の道はもちろん、そのほかの武芸にもよく励まなくてはいけない、そうすることで得られる武士の行う道に少し暗がりさえない迷いの雲の晴れた状態を真実の空と言い、その「空(から)」の状態の素晴らしさを、「五輪書」の最後に謳っているように思います。
この「五輪書」は、世代を超えて多くの人に認められている考え方。
そして『FGO』で武蔵がこの宝具を発動させる際も、フィニッシュの「空」のところで天を分かつほどの真っ直ぐで白い一筋の剣筋が昇っているのが見えます。まさに、剣を極めたセイバーのサーヴァントにふさわしい必殺技と言えますね。
最後に━━

今回は本物の歴史上の人物になぞらえつつ、キャラの魅力に迫ってみたのですが、いかがでしたでしょうか。
宮本武蔵はセイバーでありながらバーサーカークラスのカード配分(クイック1:アーツ1:バスター3)を持っています。それでいてアーツは高性能で、ヒット数を二倍にできる強力スキル「第五勢」と組み合わせるとNPを稼ぎやすいキャラ。
それと同時に、アーツの配分が少ない分、先述のコンボを出せるタイミングが限られてしまうといった難易度の高い操作性を含んでいるのも事実です。でも私は、そんな扱いづらさも含めて武蔵が愛おしく感じてしまうのです。
武蔵のさらなる活躍……は、マスターの頑張り次第ですが、これほど魅力溢れるキャラに出会えたことに感謝しつつ、年末に始まる一回680円という一番くじを最大何回まで引ける余裕があるか、財布と相談しておきたいと思います。
長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました。