◆アイテムを駆使するくらいが丁度良い! 絶妙な戦闘バランスについつい没頭

シナリオも気になるところですが、本作の特徴的なポイントとして外せないのは戦闘です。素早さに応じて行動順位が決まる、ターン制コマンドバトルが主軸となりますが、より大きなダメージを与えるには、敵の弱点を突いて「ブレイク」を行うのが効果的です。

敵キャラごとに設定されているシールドポイントは、弱点を突くことで減っていき、0になると「ブレイク」。敵は1ターンほど行動不能となり、また被ダメージも上昇。如何にこの隙を活用するかが、戦略上のポイントとなります。
そしてもうひとつ。行動するたびに溜まっていく「ブーストポイント(BP)」を使用すると、例えば1ポイントごとに通常攻撃の回数を増やすこと(=コマンドブースト)が可能。最大で3ポイントまで同時に使うことができ、基本行動と合わせると4回攻撃を繰り出すことも。

ブーストした状態で、弱点属性による攻撃をすれば一気に敵のシールドを剥がすこともできますし、ブレイク中ならばより大きなダメージを与えることができます。どのタイミングで、どちらの状態の時にブーストを使うか、この判断が本作の戦闘を大きく左右し、バトルを盛り上げてくれます。
「1行動のたびに溜まるんだから、毎ターン2回攻撃すれば一番効率いいのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、「BPを使用したターンは、BPがたまらない」という注意点があるため、BPの小出しはむしろ戦略的にはマイナスです。だからこそ、どのタイミングで使うか、それまでに如何に蓄積するかの判断がとても大事になります。

筆者が個人的に好んで使った戦法は、ブレイクを狙う役とダメージを与える役を個別に用意し、前者は丁度ブレイクできる数だけBPを投入。後者は、可能な限り費やし大ダメージを狙う戦法で突き進みました。「私がガードを崩すから、その隙を狙え!」みたいな連携をしてるに違いないと、ついつい妄想も捗ります。
もちろん戦法はこの他にも色々と考えられます。敵は複数出現することが多いので、敵に攻撃させないようブレイクだけして放置しつつ、別の敵を集中的に倒したり、アビリティで同時ブレイクを狙うなど、自分なりの戦法を見つけ出す楽しみも本作の醍醐味のひとつです。

ちなみに戦闘バランスについては、絶妙の一言に尽きます。雑魚敵ですら、いい加減に戦ってるとやられかねません。その反面、しっかりと攻撃を組み立てて当たれば、被害は大きく減らすことができ、「考えた分だけ成果が返ってくる」という手応えになっています。

特にボス戦の歯応えは相当なもので、しっかりとアイテムを準備して戦いたい相手揃い。ですが理不尽な攻撃はなく、大ダメージを与えてくる攻撃にも概ね予兆があるので、耐えるために回復したり、その溜めをキャンセルするべくブレイクを狙ったりと、様々な手段で対応できます。

1人目の第1章では、当然ソロでボスと戦うため、それなりに厳しいバトルとなりますが、2人目、3人目を仲間に加えてパーティの戦力が増した後でもボス戦の手強さは健在。難易度調整においても、時間をかけて丁寧に作り上げたことが窺えます。
また、ボス戦の直前にはセーブポイントや道具屋などがあるので、敗北した場合でもリトライが容易。アイテム不足だったとしても、街に帰ることなくその場で購入し、再び挑めるのでご安心ください。

ユニークな戦略性を盛り込んだ、歯応えたっぷりのバトルが味わえる『オクトパストラベラー』。しかし手強いだけでなく、強敵との戦いをシステム面でしっかりサポートしてくれているので、やられてゲームオーバーになっても、気落ちするより先に「もう一度!」とトライしたい気持ちに駆られます。物語だけでなく、バトル面でもプレイヤーを掴んで離してくれません。
3DCGを元に作られているとはいえ、ドット絵を採用しているゲームは「懐古主義」とも思われがちな一面もあります。ですが、『オクトパストラベラー』を遊んだ際に懐かしさを感じたことはほとんどなく、そこには先が気になる物語や強敵との手強いバトル、そして美しく未知の世界が広がっていました。

ドット絵全盛のRPG時代よりも格段に遊びやすく、更に先行体験版よりもプレイ感を改善。歯応えと利便性を合わせ持つ本作は、プレイヤーに新たな冒険を力強く提案しています。その冒険がどれくらい長く続くのか、その点だけは今回のプレイで推し量りきれず、こちらは製品版を実際にプレイするまでのお楽しみとなりそうです。その点については皆さんがプレイヤーとなり、直接チェックしてみてください。
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