『ブリキの騎士』

お次にご紹介するのはこちらのゲーム。2019年にチェコのAttu GamesがPS4/Switch/Xbox One/PC向けに開発した中世風メトロイドヴァニア『ブリキの騎士』です。主人公はお手伝いロボットのアッツ。ある日、村を襲撃したロボット軍団が(髪型が典型的ヒャッハーで正直笑えます)村に貯蔵しているオイルを根こそぎ奪っていったので、彼がそれを取り返すため冒険に出かけるというお話。

童話のような世界観と親しみやすいアニメ調のビジュアルで、個人的に今回ご紹介するゲームの中では一番雰囲気が好きなゲームです。可愛いだけではなく、独特のセンスに満ちているところもポイントが高いです。
たとえば主人公アッツは頭が水槽になっていて、その中に魚が一匹住んでいるという謎のキャラクター設定。いったいどんな仕掛けなんだとツッコミたくなりますが、本作にはそういった味のある描写が随所にちりばめられていて、アートアニメーション作家を数多く輩出したチェコのゲームならではのこだわりが伺えます。

アクション面にも強いこだわりが感じられます。アッツは決して高性能なロボットではなく、激しい動きをするとオーバーヒートを起こしてしまうのが特徴。蒸気が体中から噴出し、熱が収まるまでは攻撃不能になります。
敵とバトル中であれば一時的に逃げるか、冷却材を使用して状態異常を治すしかありません。いくらザコ敵が相手といえども一切油断できないのがこのゲームなんですね。敵を一瞬で蹴散らす無双ゲーが世の中にたくさんありますが、この作品は真逆の方向性でプレイヤーを楽しませてくれるのです。


本作で「これは良いな」と思った点が、装備のカスタマイズが画面に反映されるところです。装備を変えても外見がデフォルメ状態のまま進行するアクションゲームがいくつもあるなかで、この柔軟性はプレイヤーとして嬉しいの一言。特に本作の防具関係はカラフルな模様のものが多いので、着せ替え感覚で装備品を買い換えるのもいいでしょう。
反対に惜しいと思った点が、装備品のパラメーター機能が実装されていないところです。そのため「この武器とあの武器、どっちが強いの?」と首を傾げる場面もちらほら出てきます。ただ、そこは実用性よりも見た目の雰囲気を楽んでほしいというゲーム会社からのメッセージなのかもしれません。これもまた、こだわりのひとつなのでしょう。
実際、ゲームを進めていくと上記の点は気にならなくなりました。シュールでキュートな世界観を堪能したい方は、ぜひ『ブリキの騎士』をプレイしてみてください。

『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』

最後にご紹介するのは、日本が誇る往年の名作『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』です。海外では『キャッスルヴァニア』の名称として知られているメトロイドヴァニアの元祖であり代表作。本シリーズは1986年から続く長寿作品で、ヴァンパイアハンターのベルモンド一族と、ドラキュラ伯爵との数世紀に渡る戦いの歴史を描いた怪奇アクションアドベンチャーとなっています。

本作の舞台は18世紀のトランスヴァニア地方。100年に一度蘇るとされるドラキュラ伯爵を倒した伝説のヴァンパイアハンターリヒター・ベルモンドが謎の失踪を遂げ、時を同じくして悪魔城が忽然と姿を現すという不可解な事件が起こります。ドラキュラ伯爵の息子でありながらも、正義の心を持ち合わせるアルカードが謎を解明するために単身、闇夜にそびえる悪魔城へと乗り込む……というあらすじ。
本作の主人公がドラキュラ伯爵の血を引く者という衝撃的な設定に加えて、このアルカードという男、めちゃくちゃイケメンなのです。白銀の長髪にクールな眼差し。彼の甘いマスクに魅了されたプレイヤーも多いのではないでしょうか。

この記事を書くにあたり、今年の3月にスマホアプリ版が配信されたとのことなので(2020年7月現在370円)、早速ダウンロードしてみました。画面表示などはCS機と若干の違いはありますが、作品の耽美的な雰囲気はしっかりそのまま移植されています。
スマホで操作するのが苦手という方は、Bluetooth機能などを使えばPS4のコントローラーでも遊べるのでご安心を。ちなみに筆者も使い慣れたコントローラーでプレイすることにしました。


さてさて、ひとしきりオープニングが終了すると、いよいよ美青年アルカードを自分の手で操作できます。本作は今までのシリーズに比べて異色の作品です。悪魔城シリーズの武器といえばしなやかな鞭というイメージが強いですが、なんと彼の初期装備は剣。
装備品の購入やレベルアップ機能といったRPG要素が充実しており、なによりも従来のステージクリア制が廃止となり、広大なマップを自由に探索する新システムが導入されたことが革命的です。「新たな悪魔城シリーズを世に送り出すぞ!」というスタッフの熱意がびしびし伝わります。


ゲーム序盤において、謎の美女がアルカードの前に立ちはだかります。『血の輪廻』で主人公リヒター・ベルモンドと行動を共にしたかつての少女マリアです。彼女もまた、失踪したリヒターの行方と悪魔城が復活した原因を突き止めようとしていたのです。アルカードとマリアの今後はどうなるのか……この続きは実際にプレイして体験してみてください。

今なお数多のゲームプレイヤーを魅了してやまないメトロイドヴァニア。レトロなゲームスタイルと思われがちなジャンルですが、まだまだ進化の余地が残されている挑戦的な分野でもあります。今後、どのような新作が誕生するのか、メトロイドヴァニアファンの筆者もわくわくが止まりません。