夏だね~。暑いね~。毎日うだるように暑いね~。
でもテンション上がるね~。
なぜならカブトムシが採れる季節であるからね~(※個人の感想です)。

子どもの頃はカブトムシ採りといえば夏の一大イベントだったものです。
早起きをしてスズメバチに怯えながら、クヌギやコナラの木を見て回るのはさながら宝探し。小さな冒険でした。
そしてついに!樹液にツノの生えたでっかいやつがむしゃぶりついてるのを見つけた時の高揚といったら…!!
人類が体験しうる興奮、快感の中でも最上級のものと言っても過言ではないでしょう(※個人の感想です)。
ちなみに『あつ森』でもカブトムシは採れますが、やはりあの存在感?オーラ?はゲーム画面内でもひときわ輝いています。

ニンテンドースイッチの小さなディスプレイを通しても「スペシャルな昆虫」感は溢れんばかりに伝わってきます。
そのつもりがなくても見かけるとつい採っちゃいます。
……しかし、なぜヒトはあんなにもカブトムシという存在に惹かれるのでしょう?
汗だくになってまで、貴重な睡眠時間を削ってまで、なぜ彼らを捕まえるのでしょう?
なぜ子どものみならず、いい歳こいた大人までもが夢中になるのでしょう?
なんでなんですかね哀川翔さん?
……まず第一に、やはりあのシルエットは言わずもがな魅力でしょう。
分厚いボディーにトゲトゲした脚。そしてあの長いツノ!!
「兜虫」というだけのことはある。
あんなもの……かっこいいに決まっているじゃないですか。

語源となった甲冑の兜しかり。サイしかり。ガンダムしかり。リザードンしかり。デーモン小暮閣下しかり。ツノが生えてりゃだいたいカッコいいんです。カッコいいものにはだいたいツノが生えてるんです。これは宇宙の真理です。
でもそれだけじゃないですよね?やっぱりあの「大きさ」がいいんです!
カブトムシ類は甲虫としては並外れたサイズです。たとえば日本のカブトムシは全長(ツノの先端からおしりまでの長さ)80mm以上に達し、本州、四国、九州、北海道でもっとも大きな甲虫として知られています。そりゃああのオーラにも納得ですね。
巨大がゆえにパワーも半端ではありません。不用意につかめばトゲトゲの脚でグイグイと指を押しのけられ、強い痛みを覚えるほど。その痛みさえ……イイんですよねえ~(※個人の感想です)。

と、ここまで日本のカブトムシについてお話ししてきました。しかし世界には何百種類というカブトムシが分布しており、その中には日本産のものをはるかに凌ぐ巨大な種もいます。
その中でも飛び抜けて大きなものが『あつ森』にも登場する「ゾウカブト」なのです。
もう名前からしてデカそう!強そう!ゾウカブト!
ちなみに『あつ森』に登場するゾウカブトの学名は「Megasoma elephas (メガソマ エレファス)」。学名の響きまでデカそう!強そう!メガソマ!!!

ゾウカブトは中南米に分布し、大きなものでは体重50gほどになる世界でもっとも重いカブトムシであると言われています。

ゾウカブト(全長130mm以上)はツノがやや短いため、世界で一番体長が長いカブトムシとしてはヘラクレスオオカブト(全長170mm以上)にその座を譲っていますが、その体のマッシブさは世界最大を名乗るにふさわしい迫力!!

人間に例えるならヘラクレスがNBAプレイヤー、ゾウカブトがヘビー級レスラーといったところでしょうか。
まぁ……。どっちもデカすぎてもうどうでもよくなっちゃいますよ。特に日本産のカブトムシと比べるとね……。


また、デカいのは成虫だけではありません。幼虫の頃から巨大!なんと幼虫時代は餌をお腹いっぱい食べた状態だとその体重は130g以上になります。
バナナより太い幼虫!すごい!お好きな方にはたまりません!

ちなみに、ゾウカブトは尋常じゃなく力が強いです。その太い脚でしがみつかれると、日本のカブトムシの比でないほど痛く、引き剥がすのがなかなかたいへん。
……リアルでゾウカブトを捕まえるシチュエーションに陥った場合は十分に注意しましょう。

また、胸と胴体のジョイント部はエッジがやたらシャープになっており、指を挟まれたりすると出血を伴う怪我をすることもあるとか。さながら天然の爪切りってとこですね。
……やっぱりリアルでゾウカブトを捕まえるシチュエーションに陥った場合は十分に注意しましょう。
『あつ森』博物誌バックナンバー
■著者紹介:平坂寛

Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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