コナミは、7月13日から『遊戯王OCG』を遊べるデジタルカードゲーム『遊戯王 マスターデュエル』に新セレクションパック「ドレッド・コンスピラシー」を追加。そのパックで登場するのが「暗黒界の龍神王 グラファ」です。
このカードは「暗黒界」テーマ初となる融合モンスターであり、あの2022年を代表する環境テーマ「ティアラメンツ」で使われたほど優秀な効果を持っていました。

なかなか優秀な新規をもらった暗黒界。しかし古くから遊戯王をやっている人からすると「暗黒界テーマにエクストラモンスターが出るなんてなぁ……」と思ったのではないでしょうか?
というのも、暗黒界は遊戯王でも屈指の歴史があるテーマ。紙の時代にはお世話になった人も多いでしょう。今回はそんな暗黒界の歴史と特徴を、私感を交えつつ語ってみたいと思います。
◆意外に良い奴!? 長い歴史を持つ愛されテーマ「暗黒界」

暗黒界は、2005年にカテゴリー化されたテーマであり、所属するモンスターは全て闇属性・悪魔族となります。
名前や種族も含め、いかにも“悪党”といった感じですが、「暗黒界の騎士 ズール」のテキストを見ると「誇り高き騎士」「決して弱き者に手を下す事はない」と書かれており、見た目に反して結構気の良い集団のようです。

そんな暗黒界の知名度を大きく上げたのが、2011年に登場した「ストラクチャーデッキ-デビルズ・ゲート-」。このストラクによって「暗黒界の龍神 グラファ」「暗黒界の門」など強力カードが多数登場し、環境にも顔を出すようになりました。
◆貧乏デュエリストの味方だったストラクデッキ

今でこそ「3つ買って組み合わせればデッキができる」と言われるストラクチャーデッキですが、かつてのストラクは使い勝手にかなり幅がありました。
その典型例が「ストラクチャーデッキ-ドラグニティ・ドライブ-」です。こちらは「ドラグニティ」テーマを収録したストラクなのですが、なぜかドラグのキーカードである「ドラグニティ-ファランクス」が入っていませんでした。

一応「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」のように使えるカードもあったのですが、それもファランクスとの組み合わせあってのこと。そのため、ドラグニティデッキを組む場合、ストラクより高いファランクスと各種シンクロモンスターを必要としたため、かなりの金満デッキになってしまいました。やっぱ「DUEL TERMINAL」産のテーマはいろいろキツいよ……。
一方「暗黒界」のストラクには、暗黒界の必須カードがほとんど入っていました。しかもエクストラデッキを使わなくても十分戦えたため、大変リーズナブルだったのです。そのため、体感ですが暗黒界を扱うデュエリストはかなり多かったと思います。
◆暗黒界のおかげで広まった?「効果で捨てるか、コストで捨てるか」

また、暗黒界の活躍は遊戯王のとあるルールを多くのデュエリストに認識させました。それが「効果で捨てるかコストで捨てるか」です。
暗黒界のモンスターの多くは「カードの効果で手札から墓地へ捨てられた場合」に効果を発揮するのですが、これには「コストで捨てたときとは発動しない」という注意点がありました。
例えば手札を1枚捨てて、フィールドのカード1枚を破壊する「サンダー・ブレイク」で暗黒界を捨てても、効果の発動はできません。サンダー・ブレイクで手札を捨てるのは、「カードの効果」ではなくコスト扱いだからです。
暗黒界の活躍に伴い、このルールを意識するのがとても重要になりました。複雑な処理も多い遊戯王のルールを、ある意味で浸透させたと言えるでしょう。
ちなみに、概ねですが「~して発動する」などと書かれている場合はコスト扱いになります。
◆武王や軍神さえしのぐ“暗黒界最強のシャケ”

また暗黒界は、その雰囲気と設定のギャップから、「暗黒界の洗脳」のようなコミカル要素も多いです。個人的にですが「グラファに着せられたマントが気に入らなくてしょげてるのでは?」といったコメントに、爆笑した記憶があります。
そんな暗黒界のネタの中でも、筆頭といえるのが「ジェノサイドキングサーモン」の存在です。

このモンスターは暗黒界にある「暗黒海」の主として恐れられる魚なのですが、何と攻撃力が2,400もあります。これは「暗黒界の武神 ゴルド」や「暗黒界の軍神 シルバ」さえ上回る値であり、暗黒界側はグラファや「暗黒界の魔神 レイン」などを連れてこないと太刀打ちできませんでいた。

おかげで“暗黒界のメンバーはおおむねシャケより弱い”などと長らく言われたのです。
◆初心者にもおすすめな暗黒界を是非使ってみて!

正直「ジェノサイドキングサーモン」については、コイツが異常なレベルで強いだけな気もします。「伝説の都 アトランティス」を使うと、リリースなしで出てくるし……。
とはいえ、リーズナブルなのに十分な強さがあること、そしてほどよいネタ要素を持つことから、暗黒界は遊戯王において人気を集めるテーマになりました。
今回のように「暗黒界の龍神王 グラファ」を初めとした新規カードをもらえたのも、その人気の表れだと思います。現在においても、闇属性でサポートカードも受けやすいといった利点は残っているので、『マスターデュエル』から遊戯王を始めた人も、ぜひ暗黒界を通じて「コスト」の概念を把握してみてください。
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