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【特集】シナリオライターが遊ぶ『ファイナルファンタジー』…探求の旅はここから始まった。クリスタルと光の戦士たちが踏み出した最初の一歩目

第2のRPGが放つカウンターとしての輝き

ゲーム 特集
【特集】シナリオライターが遊ぶ『ファイナルファンタジー』…探求の旅はここから始まった。クリスタルと光の戦士たちが踏み出した最初の一歩目
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ピクセルリマスター版『FINAL FANTASY』(Steam)

ゲームを含めた様々なコンテンツで“ストーリー”を深く楽しむユーザーが増え、メーカーやパブリッシャーもそれに応じるべく全力でゲームを開発している現代……本連載記事では、古今東西のビデオゲームを紐解き、真に優れたゲームシナリオとは何かを考えていきます。

著者プロフィール

各務都心(かがみとしん):1991年生まれ。シナリオライター&ゲームライター。マーダーミステリー「探偵シド・アップダイク」シリーズを制作。RPG、アトラクションのシナリオなども手掛ける。

第1回はファミリーコンピュータ向けにリリースされた、ゲーマーならその名を知らない者はいないRPGシリーズの第1作目『ファイナルファンタジー』を取り上げます。


『ファイナルファンタジー』は1987年12月18日にスクウェア・ソフトから発売されたRPGです。同じく国民的RPGの1作目である『ドラゴンクエスト』の発売が1986年5月27日なので、およそ1年半ほど隔たりがあります。

『ヘラクレスの栄光』や『ワルキューレの冒険』といった『ドラゴンクエスト』の影響を受けた模倣作品が多く登場するなか、たった1年あまりの開発期間で伝説のRPGを作り上げた功績は、現代に至るまでに語り継がれています。逆に言えば、模倣作の数々もそのくらいのスパンで出来上がっていたわけで、現代の長期化するゲーム開発に比べると、どれもとんでもなくスピーディーに感じますね。

実際出来上がった『ファイナルファンタジー』は、戦闘、音楽、魔法、パーティー編成、ジョブシステムなど、あらゆる面で『ドラゴンクエスト』に対するカウンターとして作られていることがわかります。

ヒット作に対して「我々はこう作る」という考え方は、どのジャンルにおいても成功の鍵ですね。そしてこの流れは当時のスクウェア社内でも発生し「ファイナルファンタジー外伝」として『サガ』シリーズや『聖剣伝説』シリーズが生み出され、どんどん分派していくのでありました。

では、ストーリーを見ていきましょう。本作は「この世に悪満ちし時 4人の光の戦士現れん……」という予言の通り、荒れ果てた世界に4人の光の戦士たちが現れるところから始まります。彼らはコーネリア王国のセーラ姫をガーランドから奪還したあと、カオスという存在から4つのクリスタルの輝きを取り戻す旅に出ました。

すべてのクリスタルの輝きを取り戻したのち、元凶は2000年前のカオス神殿にいることを突き止め、そこに向かいます。カオス神殿には一度倒したはずのガーランドが待ち構えていました。彼はカオスによって過去へと戻され、復讐の機会を待ちながら2000年後の未来にカオスを送り返す準備も進めていました。

時の因果を断ち切り、もう一度ガーランド(カオス)を倒す光の戦士たち。時が元に戻ったことで、彼らの活躍は忘れ去られてしまいますが、人々の記憶のどこかに「ファイナルファンタジー」という架空の物語として生き続けるのでした……。

といった全貌になります。こうして見ると、壮大さを感じさせながらも捻ったツイストも盛り込まれていて、とても1987年のRPGとは思えない作りですね。『ファイナルファンタジー』の記念すべき1作目は、ループものだったわけです。

『ファイナルファンタジー』シリーズは、他の多くのIP同様に、続編以降はセルフパロディを盛り込んでいくのが特徴ですが、その下地となる設定は1作目にあったわけです。詳しいネタバレは控えますが、最新作である『ファイナルファンタジー16』にも初代『ファイナルファンタジー』の重要な設定が引き継がれていたり『ファイナルファンタジー14』の光の戦士たちの出自にも同様の設定があったりと、1作目の理念が大事にされているというのがよくわかりますね。

ここで『ドラゴンクエスト』の特徴を挙げると、すぎやまこういちの手掛けるバロック調の音楽や、堀井節とも言われる江戸っ子口調や、村や町単位での小さな物語の積み重ねであることなどが挙げられると思います。

ですが、そのカウンターとして出発した『ファイナルファンタジー』は最初からメロディアスな楽曲を使ったり、OPからデカデカとナレーションを付けたり、物語全体をひっくり返そうとする大きな仕掛けを盛り込んだりと、初見から訴えかけるケレン味/パッと見のカッコよさを意識して作られていることがわかります。

のちのシリーズで、キャラクターの華美な見た目などを「ノムリッシュ」と揶揄されることもありましたが、そもそもそういったカッコ良さを求めた表現はシリーズ初期から備えていたのでは……? と考えることもできるでしょう。

80年代後半から人々を熱狂させ続けたRPGの二大巨頭は、2003年にスクウェアとエニックスの合併により、ついに融合することとなりました(もちろん『クロノ・トリガー』などもありますが)。今後もあらゆる表現を盛り込みながら、1作目の理念を守りつつ、新しい『FF』が誕生することを切に願っています。

今週のキーワード:ループもの(ループSF、タイムループ)

最後に「今週覚えておきたいキーワード」を挙げましょう。“ループもの”はおなじみの設定ですが、具体的には特定の時間内に閉ざされてしまった主人公が、何らかのアイテムなどを駆使して元の時間軸に戻ろうとするサイエンス・フィクションのサブジャンルを指します。

SFのサブジャンルにしては珍しく、国産コンテンツが嚆矢だと見做されることが多いジャンルで、最初期の作品として1967年に刊行された筒井康隆「時をかける少女」や、1984年公開の劇場アニメ「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」などが挙げられます。

2000年代になるとライトノベルやPCアダルトゲームの業界で一斉に萌芽し、これらの感覚を東浩紀が「ゲーム的リアリズム」と称しています。ちなみに筆者は、小説では桜坂洋の「All You Need Is Kill」、ゲームではAnnapulna Interactiveが販売している『Outer Wilds』が好みです。

UPDATE:ゲーム的リアリズムに関する記述に誤りがあったため修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。


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