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「誰もがサッカーの興奮を楽しめる場所」を目指し、進化し続ける―KONAMI『eFootball™』eスポーツ責任者 田谷淳一氏インタビュー

公式世界大会を控えるeスポーツタイトル『eFootball™』。長らく定番サッカーゲームとして愛されてきた本作の取り組みと展望を伺いました。

ゲーム eスポーツ
「誰もがサッカーの興奮を楽しめる場所」を目指し、進化し続ける―KONAMI『eFootball™』eスポーツ責任者 田谷淳一氏インタビュー
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2024年7月20日(土)~21日(日)、コナミデジタルエンタテインメントのサッカーゲーム『eFootball™ 2024』を競技タイトルとした公式世界大会「eFootball™ Championship 2024 World Finals」が開催されます。

eFootball™ Championship 2024

「eスポーツ」という言葉が広まるよりずっと前から対戦ゲームとして広く愛されてきた同シリーズは、国内外のeスポーツ大会においても競技種目として採用されているほか、企業や地方自治体もイベントで活用するなど、eスポーツシーンにおいて変わらぬ存在感を放っています。

今回、コナミデジタルエンタテインメントにて「eFootball™」シリーズのeスポーツ分野を統括する田谷淳一氏にインタビューを実施。公式世界大会の魅力から同社がeスポーツシーンにおいて果たす役割、そしてeスポーツ市場への期待まで、お話を伺いました。

コナミデジタルエンタテインメント 田谷淳一氏

モバイル版リリースを機に世界展開が加速

――自己紹介をお願いします。

田谷『eFootball™ 2024』の制作チームでeスポーツディレクターを務めている田谷淳一と申します。入社したのは2006年なのですが、当時、PlayStation2向けタイトルの『Jリーグウイニングイレブン9 アジアチャンピオンシップ』の公式大会があり、ユーザーとして参加していました。その大会で運よく優勝し、それがきっかけで入社したんです。そういった意味では、昔からeスポーツに縁があるのかなと思います。

――珍しいご経歴ですね。

田谷ウェブサイトに掲載された優勝インタビューを見に行ったらローカライズ業務をちょうど募集していまして。面接で「優勝しました」とアピールしました(笑)。入社後はずっとサッカーコンテンツに携わっておりまして、企画やローカライズ、プロモーションなどを担当してきました。

2023年4月からeスポーツディレクターを務めています。

――あらためて、『eFootball™とはどういうゲームですか。

田谷『eFootball™』はアクションサッカーゲームでして、前身の『ウイニングイレブン』シリーズは、第1作『Jリーグ実況ウイニングイレブン』が1995年に初代PlayStationで発売されました。それ以来、ハードが進歩していくとともにゲーム内容も進化していき、『ワールドサッカーウイニングイレブン7』からオンライン対戦にも対応しました。

2017年には基本プレイ無料のモバイル版をスタートしたのですが、これを機にユーザー層が大きく変わり、東南アジアや西アジア、南米、アフリカなど、ゲーム機があまり普及していなかった地域のお客様が爆発的に増えました。より幅広い方に『ウイイレ』を手に取っていただけるようになったという意味で、大きな転機でした。

――それまで市場としては小さかった地域へ拡大したのは、戦略的に狙っていたことなのでしょうか。

田谷もちろん狙ってはいましたが、私たちの期待以上に幅広いお客様に遊んでいただいています。家庭用ゲーム機が普及していないような地域でも、サッカー熱は本当に高いものがありますから、モバイル版の展開によって拡大できました。

2025年でシリーズ30周年を迎えるため、今までの感謝も込めて、より多くのお客様に楽しんでいただけるようにこれからも制作・運営を行っていきたいと思っています。

他のタイトルと比べて特徴的なのは、家庭版とモバイル版で同じゲームプレイ、同じ面白さを楽しめることです。もちろんプラットフォームごとに調整は必要ですが、ゲーム内イベントやキャンペーン、獲得できる選手など、すべてのお客様に同じものを体験していただけることを目指して運営しています。

――『eFootball™』シリーズでは、eスポーツ競技としての展開はいつ頃から考えていたのでしょうか。

田谷2016年の『ウイニングイレブン』時代から世界大会の「PESリーグ」を開催していますし、それ以前からも各種大会はありました。そもそも人と対戦することが前提の「対戦型サッカーゲーム」ですから、「eスポーツ」という言葉の流行を意識しすぎることなく運営できていると思います。

公式大会は「世界中の誰もが夢を掴める」場所

――近年のeスポーツ市場全体の盛り上がりはどのようにご覧になっていますか。

田谷2017~2018年頃から「eスポーツ」という言葉が一気に盛り上がり、さまざまな企業がそれに反応して参入する、という大きいムーブメントがありましたが、その盛り上がりは、また形を変えて広がっているように感じます。

例えば、国や自治体がeスポーツ/ゲーム分野への取り組みを推進するようになってきたようにも思います。サウジアラビアに関しては国策としてeスポーツ事業に取り組み、観光客誘致などにつなげようとしていますし、ヨーロッパでは今まさにUEFA欧州選手権が盛り上がっていますが(取材時点)、そういった「国同士が競い合う文化」のもとでeスポーツも盛り上がっています。



田谷日本国内においても、地方自治体の方から「イベントを実施したい」とお申し出をいただくようになりました。以前は、「ゲーム大会」というとゲームファンだけが盛り上がるような印象もありましたが、「eスポーツ」という言葉が一般化したことで、ゲームを遊ぶことや大会に出ることがポジティブなイメージをもつようになり、私たちとしても前向きに受け止めています。

先ほども言った通り、私たちは以前からグローバルに大会を開催してきましたし、そういった世の中の流れに左右されずにeスポーツの取り組みを継続できています。もちろん、ライブ配信など楽しみ方が進化している部分もあるので、ブラッシュアップもしています。

――そんな中、7月20日、21日には公式世界大会の決勝戦「eFootball™ Championship 2024 World Finals」が開催されます。あらためて、どのような大会なのでしょうか。

田谷本大会はゲーム内での予選から始まっており、2024年大会の参加者はカジュアルなユーザーからトップレベルまで、総勢約3,976万人にのぼりました。日本ではJリーグと連携した「eJリーグ eFootball™」、メキシコでは「eLiga BBVA MX」など、各地域でローカルリーグを開催しているのですが、そのチャンピオンたちが一堂に会して世界一を決めるのが「World Finals」です。

「eJリーグ eFootball™ 2024シーズン」では横浜F・マリノスが2度目の優勝を果たした(像提供:コナミデジタルエンタテインメント)

私たちが重視しているのは「誰でも参加できる大会であること」です。

現在、「eスポーツ大会」「eスポーツプレイヤー」というと、やはりチームに所属していたり、専門のトレーニングに励んでいたりといったものを想像される方も多いと思います。しかしそういった人たちだけでなく、世界中の誰もがサッカーの興奮を楽しめる、誰もが世界一になれるチャンスがある、ということをもっとも大切にしたいなと。

世界中のユーザーさんが「自分はやれるんじゃないか」と思って地域大会に出てみる、そして世界大会にも進出できる。そういう場を我々が提供するのは、対戦サッカーゲームを運営する企業としての“責任”だとも思っています。

――誰もが夢を掴むチャンスがあるんですね。

田谷具体的な例ですと、数年前の大会で優勝したブラジルの選手が、優勝賞金で、より住みやすい地域へ引越したと聞いたこともありますし、ユーザーさんの実生活に影響を与えられるような、夢を持ってもらえるような機会を提供していると思いますし、今後も取り組んでいきたいですね。

また今年度からは、『eFootball™ 2024』のパートナークラブでもある「FC バルセロナ」、「FC バイエルン ミュンヘン」、「マンチェスター ユナイテッド FC」、「AC ミラン」、「FCインテルナツィオナーレ ミラノ」、「アーセナル FC」の6クラブと連携し、各クラブの名前を冠した大会を実施する「Club Event」という取り組みを実施しています。

そのうち、FC バルセロナ、FC バイエルン ミュンヘン、マンチェスター ユナイテッド FCの各大会は現地で決勝大会を開催しました。各クラブの施設をツアーしたり、試合を観戦したり、現役選手と対面できたりといった機会も提供して、サッカーゲームならではの取り組みができました。

――『eFootball™』はこれまで、「国民体育大会(2024年から「国民スポーツ大会」に改称)」の文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」や、「AFC アジアカップ 2023」と平行して開催された「AFC eアジアカップ 2023」など、国内外の大会で採用されてきました。今年11月にサウジアラビアで開催される「ワールドeスポーツチャンピオンシップ 2024」の競技種目にもなっています。

グローバルの動きが加速する中で、どのような期待をもっていますか。

田谷そういった国際大会に採用されるのは、非常に嬉しいことです。「AFC eアジアカップ 2023」では、リアルの大会と同じ出場国が同じグループ分けで大会が行われたのですが、ライブ配信等を見ていても自国の選手を応援するコメントが非常に多く、盛り上がっていたのが印象的でした。

「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」も同様ですが、国や地域を背負うことで選手も普段以上に気合が入るという話を聞きますし、試合も面白いものになります。

全国都道府県対抗eスポーツ選手権2023 KAGOSHIMAのようす(画像提供:コナミデジタルエンタテインメント)

やはり自分の国や地域の代表を応援したいという気持ちは誰にでもあると思いますから、そういった大会にはとても可能性を感じていますし、私たちも『eFootball™』の面白さや選手の頑張りを伝えていきたいと考えています。

「コミュニケーションツール」としても進化を続ける

――『ウイニングイレブン』『eFootball™』はこれまで、単なるゲームに留まらず、子供たちが家に集まってワイワイ楽しむようなコミュニケーションツールとしても親しまれてきたと思いますが、いかがですか。

田谷例えば中学校から高校へ上がったときに初対面の人と話すきっかけが「『eFootball™』遊んでる?」であったり、私と同年代で今はプレイしていない人でも「昔『ウイイレ』で遊んでたよ!」というきっかけで話が広がったりと、まさにコミュニケーションツールになっていると思います。

今は、電車やファミレスなどで学生が集まってモバイル版で遊んでいるのも時々見かけますね。LINEなどを通じて気軽に通話しながらオンライン対戦もできるようになり、時代が変わっても、『eFootball™』が引き続きコミュニケーションのきっかけになっているのを見ると、制作に関わっていてよかったな、と感じます。

――その「コミュニケーションツール」として、企業や地域の交流イベントなどで『eFootball™』が採用される事例も多く目にします。

田谷ありがたいことに、多くの地方自治体様や企業様から「イベントで『eFootball™』を使いたい」とお声がけいただいています。中には伊豆諸島の中の3自治体4島をオンラインでつないだ「eスポーツ アイランドカップ」という大会もあり、非常に面白いと思いました。

サッカーのルールは馴染みがあると思いますし、他のeスポーツタイトルと違ってルールや勝利条件を理解するハードルが無いに等しいのが強みです。『eFootball™』を知らない方やハンディキャップのある方でも、気軽に遊んでいただきやすいと思いますので、ぜひどんどん活用してほしいですし、私たちも可能な限りサポートします。

――イベントや大会で『eFootball™』を使用する際に気を付けなければいけない点はありますか。

田谷これは『eFootball™』に限ったことではないですが、賞金や入場料などが発生する場合は、法的に問題ないかを注意しなければなりません。

また『eFootball™』の使用については、弊社側に事前の申請をお願いしております。

ただし、そういった申請は手間でもありますから、気軽にイベントを開催していただけるように申請手続きをなるべく簡素化したり、わかりやすいガイドラインを用意したりといったことも検討しています。

ゲーム内で簡単にトーナメントを作れるような機能などもあると便利でしょうから、そういった機能もゆくゆくはぜひ提供したいと思っています。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

田谷対戦サッカーゲームとしてより楽しんでいただくために、ゲーム内の機能やライブ配信など、今後もさまざまな部分を改善していきたいと考えています。まずは、7月20日、21日の「eFootball™ Championship 2024 World Finals」をお楽しみいただければ幸いです。

――ありがとうございました!

《e-Sports Business.jp》
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