■「パスワード間違えてメモした」

昨今「パスワード」といえば、スマホに設定したセキュリティの認証や、会員登録の本人確認、キャッシュカードやクレジットカードの暗唱番号をはじめ、日常の様々な場面で使われています。ですが、当時のファミコンキッズにとって「パスワード」といえば、「ゲームにおけるコンティニュー方法」とほぼ同じ意味でした。
黎明期のファミコンゲームには「セーブ」に該当する機能がなく、ディスクシステムやバッテリーバックアップが後に出るまで、ハイスコアやゲームの進行度は電源を切るたびにリセットされていたのです。

ただし、ゲーム側で「前回のプレイを引き継ぐコンティニュー機能」を備えた作品はあり、短時間ではクリアが難しいRPGなどを中心に、いくつものゲームソフトに導入されました。それが、パスワード入力によるコンティニューです。
ファミコンゲームのパスワードは、いわば暗号のようなもの。例えばRPGで、どこまでゲームが進み、レベルがいくつで、どんな武器や防具を持っているか、そうしたゲームデータの数値を変換し、文字列として表示されたものが「パスワード」になります。

次回プレイする際、前回メモしたパスワードを入力すれば、その文字列をゲーム側が数値に再変換し、レベルや進行状態などを出力。すると画面上には、前回プレイした状況が(ゲームによっては一部制限もありますが)そのまま再現されるので、引き続きゲームを楽しむことができたのです。
ただし、このパスワードには問題がひとつありました。それは、キャッチフレーズにある通り、「パスワード間違えてメモした」という事態が頻発したこと。パスワードは厳密なので、たったひと文字間違っただけでも受け付けてもらえません。
一生懸命パスワードをメモっても、小学生なら書き間違うことも当たり前。また、当時のTVはブラウン管で解像度も低めなので、文字がつぶれて表示されることも多く、例えば「ば」と「ぱ」、「め」と「ぬ」など、判別しにくいケースがありました。

スマホやデジカメのような手軽な撮影手段があれば、画像に残して保険として使えたことでしょう。もちろん当時はスマホなんてありませんし、カメラはフィルムが必須なのでお金がかかり、さらに現像の時間も必要なので現実的とは言えません。
パスワードを間違えてメモしてしまい、前回のプレイが幻となって消える。そんな悲劇が、かつて日本の至るところで起きていました。その悲しい記憶を今も抱えている人たちが、「パスワード間違えてメモした」をプロフィールに掲げているのです。

『ファミコン世界大会』には、このほかにも様々なキャッチフレーズが揃っています。思い出深いものや、自分の当てはまるものは、人によって異なるはず。自分らしさを表現できるキャッチフレーズを見つけ、自分の記録と共に世界へ発信しましょう!