■厳しい世界を凛々しく生きる、野良猫の行きつく先は……

自分の過ちに気づき、「邪兎屋」への復讐は筋違いと認識した猫又は、これまでの経緯を隠すことなく「邪兎屋」に明かします。ちなみに「邪兎屋」は、猫又の復讐心には一切気づいておらず、全て寝耳に水でした。
何も明かさずに黙っていれば、猫又は何ら問題なくやり過ごすこともできたはず。ですが、それは自分を偽るのと同義です。自分に嘘がつけず、シルバーヘッドの元を離れた猫又にとって、自らを偽るのは許せない行為なのでしょう。


赤裸々に事情を打ち明け、一連の責任を負い、悪辣な企業との交渉にひとり出向く猫又。最も危険な役目を引き受け、けじめをつけようとする姿は、誇りある孤高の野良猫でした。
ストリートで生き抜いたクレバーさを持ちながら、人情や義侠心を忘れず、自分にも甘さを見せない野良猫──そんな彼女の在り方には猫気質が垣間見え、同時に人としての魅力にも溢れています。

野良猫が居場所の暖かさを知り、しかし矜持のために野良へと戻る。そんな放浪猫が行きついた先は、なんと「邪兎屋」。こうして彼女は、また新たな居場所を手に入れることができました。その下りを詳しく紹介するのは野暮なので、是非ゲーム内で直接確かめてください。
猫は、薄情で恩知らず。性格は、気まぐれでわがまま。そんなイメージを抱いている人も少なくないかと思いますが、猫又から受ける印象はいずれにも当てはまりません。
人の善悪を判じて裁くことを「正義」と呼ぶなら、猫又に正義があるかは意見が分かれるところでしょう。ただし、心の内にある正しき義に背かず、誇りと責任を背負うことを「正義」と呼ぶなら、まさしく彼女の生き様と言えるでしょう。

法の道からは少々外れても人の道からは外れず、ちょっと困難なルートでも軽やかに乗り越えていく。そんなしなやかな強かさを持つ猫又を、今後も見つめていきたいばかりです。よければあなたも、彼女の活躍を見守ってはいかがでしょうか。