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『ゼンゼロ』「猫宮又奈」の“尊厳と誇り”に全人類が惚れるべき! 気まぐれ? わがまま? そんなイメージを覆す魅力を見届けよ

『ゼンレスゾーンゼロ』の猫又こと「猫宮又奈」は、猫耳と猫尻尾をつけただけのキャラじゃない! ストリートを賢く生き抜き、しかし誇りと矜持を貫く生き方にこそ、彼女の魅力が詰まっています。

ゲーム 特集
『ゼンゼロ』「猫宮又奈」の“尊厳と誇り”に全人類が惚れるべき! 気まぐれ? わがまま? そんなイメージを覆す魅力を見届けよ
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■居場所を捨てても、義は捨てない猫又道

再び野良猫ならぬ独り身に戻った猫又ですが、『ゼンゼロ』本編には主人公たちの助けを求める依頼者として登場します。家族の形見が奪われ、それが「ホロウ」にあるので取り戻したいと願う猫又は、「邪兎屋」にその案内を頼みました。

「邪兎屋」は、ある貴重品を巡って「赤牙組」と対立し、トラブルこそあったものの見事に出し抜いたホロウレイダー。この評判を聞きつけ、たっぷりの報酬を約束して「邪兎屋」の3人を雇います。

一行が向かうホロウは、特に凶悪な「エーテリアス」がいる危険な地域。こうした依頼でもなければ、「邪兎屋」も迂闊に近寄りたい場所ではありません。しかし、その危険こそが猫又の狙いでした。

実は、「邪兎屋」と揉めた「赤牙組」のボスは、かつて彼女の身元を引き受けたシルバーヘッドその人。猫又自身も、一時期は「赤牙組」の一員となり、皆と一緒に理想を追いかけ、自分の居場所を守ろうとしていました。

ですがシルバーヘッドは、理想も守るべき者も捨ててしまい、そんな彼と「赤牙組」を見限った猫又は袂を分かちました。もう一員でなくなった彼女は、「赤牙組」になんの義理もありません。

そう、義理も縁も手放したはずでしたが……「邪兎屋」とのトラブルの挙句、シルバーヘッドがホロウで死んだと聞かされた猫又は、復讐を決意します。

それは、かつての恩を返すためか、道半ばに倒れた者を悼んでのことか。正確なところは本人しか分かりませんが、過去と今を切り離して生きる器用さを、彼女は持ち合わせていませんでした。

人情や義侠心といった感情は、拠り所がなくストリートで生きる人々にとって、むしろ足を引っ張りかねないものです。ですが、ストリートに身を置くからこそ、目先の損得ではなく情や繋がりこそ手放すべきではないと、猫又は実体験を通して悟っているのでしょう。

義理や情を捨てたシルバーヘッドの死にも、義を持って向き合う猫又。誰かに褒められるわけでもなく、利益が得られるわけでもない。そんな見返りなど欲することなく、猫又は「邪兎屋」を騙し、死地へと誘います。

■自らの感情に拘泥しない、しなやかな視点の持ち主

ですが、猫又が復讐心を向ける「邪兎屋」の面々は、あまりにも予想と違っていました。高額の報酬に色めく欲深さこそありますが(特にニコ)、「ホロウ」をうろつく子供を見かけたら、依頼そっちのけで救出に向かいます。リスクは高く、リターンは見込めない状況なのに、3人全員が満場一致で。

また、悪辣な企業に騙された住人たちを助けようと、危険な「ホロウ」に居残ることを躊躇うことなく決め、知り合って間もない猫又を信じて、主人公たちの元へと送り出します。報酬はしっかりいただくものの(特にニコ)、誰かを見捨てて自分たちだけは助かるといった選択肢は、「邪兎屋」の3人に全くありません。

そんな「邪兎屋」の在り方は、今の「赤牙組」と真逆です。シルバーヘッドが失ったものを、ニコたちは当たり前のように持っていました。もしかしたら、猫又を引き受けた当時のシルバーヘッドなら、持っていたものかもしれません。

「邪兎屋」とシルバーヘッドの間で、実際に何があったのか。その経緯から顛末まで「邪兎屋」の3人は知っていますし、プレイヤーも彼らの視点を通して把握しています。

詳細は省きますが、シルバーヘッドが不幸な目に遭った事態に「邪兎屋」が関わってはいるものの、死に直結する原因とまで断じるのは少々過言です。両者のトラブルはあくまで(ダーティな世界の)仕事上での衝突に過ぎません。また、シルバーヘッドが「ホロウ」に迷い込んだのも、「邪兎屋」の意図ではなく、事故のようなものでした。

そうした「邪兎屋」が知っている背景を──猫又は、根掘り葉掘り聞くようなことはしません。「邪兎屋」の振る舞いや言動を通して、自分が復讐心を向けるような相手ではないと、彼女は自ら悟ったのです。



《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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