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【eスポーツの裏側】eスポーツ大会の舞台裏とは?EFGとRAGEキーマンが語る「ALGS札幌」の成功の秘訣

eスポーツ大会「ALGS札幌」の成功の秘訣について、運営を担当したEFGとRAGEのキーマンが、地域選定や選手体験の工夫、業界の発展方向性について語る。

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eスポーツに携わる「人」に焦点を当てて、これからのeスポーツシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【eスポーツの裏側】。前回の連載では「忍ism Gaming活動終了」の報告をした株式会社 忍ism 代表取締役の百地 祐輔(ももち)氏、同社取締役の百地 裕子(チョコブランカ)氏に独占インタビューを実施。これまでの同社の軌跡と「ZETA DIVISION」への「忍ism Gaming」の事業継承、また選手や関わる人達に廻る「“忍ism”イズム」について伺いました。

第49回目となる今回は、北海道で開催されたeスポーツ世界大会『Apex Legends』の世界大会「Apex Legends Global Series(ALGS) Year 4 Championship」(以下『ALGS札幌』)の大会運営企画を担当したESL FACEIT Group カントリーマネージャー Donovan Auyong氏(以下「Donovan」)とRAGEゼネラルマネージャー 大崎 章功氏(以下「大崎」)に「ALGS札幌」の特徴や、様々なeスポーツ大会を実施する際の進行方法、企画制作の注意点など、「ALGS 札幌」の成功の裏側とこれからについて迫ります。


ーーーお二人の自己紹介をお願いします。

大崎 2008年にサイバーエージェントに入社しまして、約10年くらい広告事業を担当し、2017年からCyberZのRAGEの事業に参加し、そこからはマネージャーとして、主にeスポーツやゲーミングのBD(Business Development)領域中心に8年ほど携わっておりまして、今は事業および現場の責任者をしています。

Donovan 私のメインとしているビジネス領域は「イベント」と「エンタメ」です。2006年から2013年の間にスタートアップ企業を5つ程、創業しました。全てイベント企業ですね。その当時はJ-POPと韓流を、まだ知られていない東南アジアに流通させていました。その会社を2013年に売却して、韓国に移住して韓流の仕事をしていました。その後は日本のエンターテインメント企業に入社し、アジア事業を設立して、日本のゲームIPをアジアに流通させる事業を立ち上げました。これが私の人生で初めてゲームの世界に関わる仕事となりました。その後もゲームビジネスを続けたいという思いがあり、2020年、esports事業をアジアに拡大していく最中にあったESLに入社しました。日本のカントリーマネージャーとして、日本のパブリッシャーの海外展開を手伝ったり、逆に日本でのイベント開催に興味を持っている海外パブリッシャーを日本に招致するなど、架け橋のような役割をしていました。

ーーーEFG(ESL FACEIT Group)が正式な略称ですか?それともESL(Electronic Sports League)?

Donovan ちょっとうちの会社は複雑で……元々、ESL Gamingというブランドでeスポーツの大会運営を20年近くやってます。2023年に、Savvy Games Groupというサウジアラビアの国営ゲーミングファンドに100%買収されました。Savvy Games Groupのビジネス戦略には5つの柱があって、そのうちのひとつがESLという感じです。ESLはesportsのブランドとしては残っている状態です。

ーーーお二人はゲームをプレイしますか?

Donovan RPGとか、最近だと『モンハン』などは今でもプレイします。原点の話をすると、20年前には実際に『CS:GO』の選手をしていました。シンガポールのWCG(World Cyber Games)に出場するなど、2年程eスポーツ選手のような生活をしていましたね。しかし当時はまだまだeスポーツという言葉自体が普及していなかった時代でした。

ーーー元々プロ選手だったということですか

Donovan プロではなく、セミプロのようなものですかね。お給料をもらっていたわけではないですし、ただシンガポールのチームとして戦うというだけで、趣味のようなものでした。

ーーー大崎さんはどうでしょう

大崎 超カジュアル勢なのですが、RAGEで採用するタイトルはプレイします。『シャドウバース』から始まって、『PUBG』もやったり。あと、うちの社員はプレイヤーガチ勢が多いので、仕事終わりに社内でカスタムマッチを開いたりとかしてますね。僕はそこに混ざれるレベルじゃないので、様々な配信をみることが多いです。

ーーーALGSについて教えてください

大崎 ALGSはEAさんが主催の公式大会ですので、大会のフォーマットだったりとか、レギュレーション、ルールもEAさんが決めます。前回の「ALGS札幌」は6地域に分かれていて、日本はAPAC NORTH(アジア太平洋地域のアジア地域北部)に分類されていて、その他にAPAC SOUTH、ヨーロッパ中東やアフリカも含めたEMEA(Europe、the Middle East、Africa)、中国等の世界6地域から選抜された40チームが札幌に集まる世界大会で、グローバルからトップチーム、トッププレイヤーが一年の集大成として一堂に揃うというのが特徴のひとつかなと思います。

ーーー「ALGSをやるので一緒にやりましょう」とEAさんから相談を受けて、そこからどこで開催するのか、どんな風に開催するのかというのはどう進行していくのでしょうか

Donovan EA社とEFGの契約は、1年間でライブイベントを3つ開催するといったものです。スプリットと呼ばれる予選大会を2回、加えて、年間の最終決戦であるチャンピオンシップの合計3つです。EFGはこの年3回のオフライン大会を運営する運営会社という立場です。大会の開催地はEA社からの意向を踏まえて検討するのですが、先方から「今回はアジアでやりたい」というリクエストを受けました。我々もアジア地域の様々な場所を開催地候補として検討していて、日本はApex Legendsの人気が高く大きなコミュニティもあるし、ちょうど良い会場が押さえられそうだということもあって、日本での開催を決定しました。

ーーーEA社がアジアで開催したいとリクエストしたのですね

Donovan 長年、ALGSは欧米で開催されてきました。アメリカ、イギリス、アメリカ、イギリス、イギリス、イギリス、みたいな。でも『Apex Legends』をやっている人はアジアにもたくさんいます。なので、今回はアジアという指定だったのかなと思います。

ーーー日本の中でも、なぜ札幌での開催になったのでしょうか

Donovan eスポーツに適した街だと判断したからです。大前提として若者を集めやすい。次にesports大会の開催にあたって大切なこととして、選手にも十分に満足してもらえる街だと考えました。200人の選手がその国でどういった体験ができるのか。競技だけではなくて、夜はどこに遊びに行くのか、イベントの前後でどこを観光するかなど。そういうことも開催地検討の際は考慮するのですが、そういった点において札幌はとても魅力的な街です。会場は札幌の中心地から遠くないし、真冬の雪の中での開催というのも、今までにない面白いコンテンツになるんじゃないかと思ったんです。札幌の自治体の方々のアピールもあって、かなり協力的な体制が取れたことも大きな要因です。札幌市の様々な場所から、本当に多くの方々が協力してくれました。ありがたいことです。

ーーー日本のパートナーとしてCyberZさん、RAGEさんを選んだ理由や経緯は?

Donovan EFGが選ぶ立場であったわけではありません。RAGEは昔から『Apex Legends』イベントの配信を行ってきたので、もう『Apex Legends』ならRAGEでしょう、と。当たり前のことですね。

大崎 RAGEが『Apex Legends』およびALGSに関わったのが、Year1という初期の大会の最後から関わらせてもらっています。関わらせてもらった領域はいわゆる放送の領域なんですが、そこからYear2、3、4と3年ほど続けさせてもらっています。それに加えて、先ほどコミュニティを作っていくという話があったと思うんですが、その『Apex Legends』のコミュニティが爆発的に増大したのがコロナ禍の時期だったんですね。RAGEとしても、『Apex Legends』を取り扱って大きかったのが「RAGE ASIA - Apex Legends」、あと「Legion Dojou Cup」でした。今では当たり前になっているストリーマーさんが集まって開催される大会で、大がかりなものだとRAGEが最初にやり始めたんじゃないかなと思っています。そこで『Apex Legends』やALGSの人気も相乗効果で伸びていきまして、日本はすごい盛り上がってるね、プレイヤー数も多いし、視聴者数も多いしと、EAさんからも評価を頂いておりました。「いつか世界大会も日本で…」という想いはずっとありました。昨年、幕張メッセで開催した「APEX LEGENDS ASIA FESTIVAL」、一昨年の夏にも同じく幕張メッセで開催された「RAGE Apex Legends」もそうなのですが、今まではオンラインの放送メインで視聴数があるという評価だったのですが、オフラインのイベントも集客数があってコミュニティの熱も高いという評価を受けて、「いつかは日本で世界大会」をという中、今回そのタイミングが訪れたという感じです。

ーーーALGS札幌の開催期間は5日間ありました。どの日に何をするか、そういった企画はどのように進行していくのでしょうか

Donovan 5日間での開催というのは、ALGSが立ち上がった当初から設定されていたことで、コミッショナーのジョン・ネルソン氏がそのように決めています。ですので、5日間というのは初めから決まっている条件です。ALGSは準備期間も長く必要で、最終的には7日間の計画となりました。イベント開催期間と合わせると、我々は合計12日間も会場を押さえなければいけない。日本だと、それだけスケジュールの空いている会場は少ないんですよ。ひとつのイベントのために、週末を2回分使うというのはあまりない。ALGSは世界をまわるイベントですが、どの国で開催することになっても品質の高いショーを提供するため、ステージは同じセットを持ち回ります。なのでステージ自体はイギリスから搬出しました。ドームで開催するのも初めてで、いくつものチャレンジがありました。ドームの天井は非常に高いので、高所作業だけでも2日間必要でした。大会進行やリハーサル、会場装飾、選手のウォーミングアップスペースの設営など、準備期間中は同時にやらないといけないことが多くて、大きな挑戦だったと思います。それでも大雪に見舞われる等の最悪の事態にはならなかったのは、とてもラッキーでしたね。

大崎 舞台ステージなどを海外から持ち込むって、日本のイベントだとあまり想像がつかないと思うのですが、EAさんはすごい大きな会社なので、いろいろな国からドバッと機材や搬入物が来ます。EAさんは弊社含めた多くのパートナーがいるので、こういった大会を作るのにすごい規模が大きいんですよね。だからEAさんはこうしたいけど、現場としてはこうできないとか、これってどうなってるんだっけ、みたいな、規模が大きいゆえにセクションがたくさん分かれている部分があって、その統制を関わられているスタッフ全員でとっていくというのは大変な作業でしたし、このイベントを成功させようという想いはみんな強かったと思うんですよね。その想いがぶつかり合ってしまう部分もあって、そこが難しかったかなと思います。

ーーーコミュニケーション言語は?

大崎 現場レベルや、日本企業同士の横の話は日本語ですが、EAさんとの会話は英語が主体です。

Donovan 私のいるEFGの日本チームは全員バイリンガルですので、EAさんや弊社海外チームが日本の現地パートナーとコミュニケーションする際のサポートを担っていました。

ーーー現場から要望があれば英語を話せるEFGのスタッフが対応してEA社に伝えて、EA社が英語で伝えてくるので訳して現場に伝えて、みたいな流れなんですね。

大崎 EFGさんのスタッフだけでまかなうのはものすごく難しいので「じゃあここは我々の方で直接やりますよ」とか、協力しながらやっていました。情報が縦で成立しちゃうと限定されて伝わりづらかったり即時性に影響がでるので、基本的な型はありつつ、臨機応変に、柔軟に対応するという感じでしたね。

ーーーこういったイベントをひとつやるのに何人くらいの制作スタッフが携わるのでしょうか

Donovan 弊社と弊社のパートナー企業だけでも、200人弱くらいが海外から派遣されました。EAさん側もかなりの人数だったんですけど、そちらの把握はできてないですね。

ーーーオフラインイベントのスタッフとして、直接日本に200人くらいが来たということですね

Donovan やはり、間に立っている我々の立場としては、「アメリカやヨーロッパでALGSを一緒に創り上げてきたスタッフを使いたい」というEAさんの意見を尊重する必要もあります。そこに我々EFGのスタッフがどのくらい入れるか、RAGEのスタッフがどのくらい入れるか、という話し合いはありました。

ーーーでは、いわゆる日本側のスタッフというのは、全部で何人くらいでしたか

大崎 何人なんだろう。RAGEのスタッフは50人くらいでした。他にも北海道の企業さんから数百人レベルでスタッフがいたので、ちょっと把握できてないです…。

Donovan 現地のスタッフで300人はいたと思います。

ーーーEFGさんやRAGEさんのスタッフも含めると、500人を超えるスタッフが関わっていたのですね

大崎 やはり世界大会となるとスタッフも増えるので、通常の日本の大会の数倍くらいじゃないかな。

ーーー大会を盛り上げるために意識した部分や、札幌だからこその仕掛けみたいなものがあれば教えていただきたいです。ステージはどこの国でも同じなんですよね

Donovan はい、一緒です。競技なので、内容自体もほとんど一緒。

ーーー見せ方も一緒ですか?

Donovan 見せ方は……大会ごとにスクリーンのデザインとかスクリーン数が違う部分もあるんですが、大体は同じですね。そんなに場所によって違うものはないと思うんですが、札幌へ下見に行ったときによさこい祭りを見て、是非これをALGSに持ってこようと思い、EAさんに持ち掛けました。現地で人気のお祭りをコンテンツとして取り入れるということで、これは明確に札幌だからこそ意識した部分です。他にもたくさんあって、例えば、選手限定のギフトになってしまうのですが、ALGS限定の白い恋人も作りました。

ーーー先ほど「プレイヤーファーストで考えたい」と仰っていましたが、そういったギフトなどもこだわっているのですね。他にもありますか?

Donovan プレイヤーはEFGにとってのスターなので、特別な対応をします。EAさんからも、白い恋人以外にも特別なギフトをいくつか提供して頂いたかと思います。「プレイヤーファースト」という考えはまさしくその通りで、札幌滞在中にどこに遊びに行ったらいいか、のようなアドバイスも、うちのプレイヤーマネージャーから提案していました。

ーーーこのラーメン屋おいしいよ、とかそういうのですかね?

Donovan そういったものだったと思います。実際、「ALGS札幌」が終わった後2週間くらい札幌に滞在していたのですが、あるお店の人に「ALGS札幌」の話をしたら、「選手が来ました!」と言っていました。居酒屋とかジンギスカン屋は、日本独特の店ですから。海外ではラム肉自体は食べますが、日本のジンギスカン屋のようなスタイルでラム肉を食べることはあまりないです。

選手も若い方が多いので、遊びに関しては結構重要なんですよ。賞金以外でも選手の満足度を高めてあげるというのは、イベントを行う上で重要なポイントです。

ーーー来場者や視聴者向けに意識した部分はありますか

大崎 今回、オフラインイベントとしてEFGさんがEAさんと連携してやっていた中で、僕らは日本語放送の領域と、コミュニティエリアの部分でご一緒して、会場に出る画はRAGEが画作りだったり、キャスターさんと一緒に放送を作るという部分はRAGEが担当していました。これをきちんとお届けするというのがまずひとつ。コミュニティエリアも、ちょっと特殊な会場ではあったのですが、EAさんが準備された展示物だったり、ゲームファンが楽しめるような展示を僕らの方でサポートさせていただきました。

ーーー確か、大きいネッシーが来てたんですよね。

大崎 途中で空気が抜けちゃうというアクシデントはあったんですが……。EAさんも盛り上げる一環で協力いただいて『Apex Legends』で象徴的な存在であるネッシーがソリに乗っているというアイコンやグッズは、札幌ならではのアイテムだったのかなと思います。

ーーーファン向けのコンテンツやグッズのローカライズ、カルチャライズをきちんと行っていたということですね

Donovan ファンの目線を考えて日本のEA社のマーケティングチームと一緒にやったのは、空港内でも「ALGS札幌」を感じられるようにしたことです。到着口に「ALGS札幌」のポスターを並べたり、駅にも「ALGS札幌」や選手のポスターを貼ったりして。そういう、イベントに浸れるような体験を提供しようと意識していました。

ーーーお二人は他にもeスポーツの大会、イベントを手がけていますが、それらのイベントを作る上で大切にしているものがあれば教えてください

大崎 「ALGS札幌」の話でプレイヤーファーストというのがありましたが、僕らRAGEも10年くらいイベント運営をやっている中で、大事にしている部分ですね。やっぱり主役は選手なので、選手がかっこよく映るように、ファンがもっとつくように、というのは最もコアなところです。

ここ数年で、eスポーツの世界大会などで日本の選手が活躍する場面が増えてきて、RAGEとしては、もっとライト層、カジュアル層に競技シーンを見てもらう、興味を持ってもらうという取り組みを強化したいと考えています。競技シーンを見るコア層というのは昔はもっと数が少なかったですが、それがここ数年で格段に増えてきているので、その層を広げていくというのは重要かなと思っています。

放送のコンテンツって、もっとコア向けに作るとしたら、もっと中身が変わると思うんですよ。マニア向けのコアな情報が多くなると思うんですが、初心者やライト層からすると何を言っているのか分からなくなってしまうので、まずはゲームの概要やルールの説明からしたり、お届けする構成が変わってくるんですよね。競技シーンをフォーカスするならセオリー通りに選手を見せる、プレイを見せていくと思うんですが、ライト層に届けるとなると、そこもちょっと変わってくるのかなと思います。

ーーー手前の構成も変わってきそうです。大会が始まるまでのプロモーションやキャンペーンだったり。

大崎 競技シーンは、年間を通してリーグ戦が行われていて、この最後の大会に出るためにしのぎを削っているので、自ずとストーリーが出来上がってくると考えています。日々の大会を盛り上げていくことで、ボルテージが繋がっていく。サッカーのワールドカップなども、まず予選があって、本番に繋がっていきます。そこはどのスポーツも一緒かなと思っているので、日々のプロリーグを盛り上げていくというのは大事かなと思っていますし、そこにファンをつけていくためにはちょっと違う仕掛けも必要なのかなとも感じています。例えば、ABEMAとYouTube、Twitchは視聴者層も違うので、ABEMAの方でこういう番組を仕掛けてみようとか、界隈を大きくするためには他社さんがやらないようなことにも僕らはチャレンジしていきたいと思っています。

Donovan EFGは昔から競技シーンを重視してきたので、「選手ファースト」という考え方が根付いています。そしてそこからヒーローのストーリーを作る。ちょっとお話が被るんですが、ストーリー性は重要で、eスポーツの大会を計画するときは、継続できるように作らないとダメなんです。ヒーローが育つ道を作るような役割で大会を設計します。そういったことをアジアでよくやっているのは、モバイルゲームの大会です。モバイルゲームは選手とファンの距離感がすごく近いので、そこを特色とした大会を作ろうとしています。国によってどういうコミュニティがあって、どういう現状なのかという条件によって、大会を設計する要素は違ってきます。例えば浜崎あゆみさんのライブに行ったとして、絶対に本人には触れられない。一方でモバイルゲームの選手とファンの距離感は、インディーズバンドや地下アイドルのようなものなので、そういう距離感で大会を設計します。

ーーー日本のeスポーツシーンをどのように捉えていますか

大崎 よくeスポーツ元年だとか、一過性のものだとか、ニュースで言われることもありますが、これからも発展の余地はあると考えています。これを中期、長期で育てていくのが大事だと思うので、立ち上がっては無くなってしまう大会とか、タイトル自体に寿命があったり、次々に新しいIPが出てきたりするので、他のスポーツと比べると続けていくことの難しさって毛色が違うと考えています。大会をオーガナイズしたりサポートする立場としても、続けられるサイクルになっていかないと育っていかない、積み上がっていかない難しさが運営からしてもあるので、ゲームメーカーさんの思想だったり、お金周りも含めて、一緒にコミュニティを盛り上げていくっていうのが難しさであり、今後も向き合うべきポイントです。

ーーーeスポーツアワードで殿堂入りを果たした『ストリートファイター』の梅原大吾選手に「どうすればeスポーツの格が上がりますか?」と質問した際に「続けるしかない」と回答なされました。

大崎 生半可な気持ちではできないと思います。リーグにするとより長期のものになってきますし、そこに人生をかけてやってくる若いプレイヤーがいて、そういう子の人生を変えてしまうんですよね。プロになったけど、その後プロリーグがなくなってしまったらどうするの、ということなど。

eスポーツに進出する企業さんも含めて、続けていくことの難しさっていうのを感じていて、一社だけじゃダメなんですよね。みんなで手を取り合うように協力して、業界自体のマーケットを全員で成長させていくという気概をもってやっていかないと伸びないです。一定のファンはついているし、オフラインイベントの熱気を見ていただければそう感じていただけると思うんですが、これを未来永劫、コンテンツやカルチャーとして長く続けていくためにはより一層の努力が必要だと思います。

Donovan まずファンの話ですが、視聴者の数は増えていると思います。eスポーツアワードがあるのもそうだし、eスポーツを観戦するという文化は広まってきているし、これからも伸びていくと思います。ただビジネスの方は、落ち着き始めている部分もあるのかなと。無くなった大会もあるし、マネタイズが上手くない会社もあったので、みんな撤退しちゃったんですよね。ここで再スタートじゃないですけど、本当にeスポーツのことを考えている、ファンのことを考えている企業は続くんじゃないかなと思っていて、先ほど大崎さんが仰ったように継続性が大事だと感じています。「このeスポーツの波に乗っていきましょう!」みたいなノリはもう終わったと思うんですよ。海外もその流れで、日本は1、2年遅れてそれがやってきたという感じなんですが、日本はこれから独自の流れを作っていかなきゃいけないと思います。

ーーー日本はストリーマーやVTuberが盛り上げに寄与していると思うんですが、海外からすると特殊ですか?

Donovan 特殊ですね。日本には推し活っていう概念があるのですが、欧米ではそのコンセプトはあまりないんですよね。欧米でも、ストリーマーは流行ることは流行るんですけど、日本や韓国、中国みたいに大きなビジネスには繋がりづらいです。

ーーーその概念というか、ビジネスモデルは日本から海外に輸出できないんですかね?

大崎 チャレンジしていきたいですけどね。海外のeスポーツイベントをいくつか見てきましたけれど、本当にスポーツを見ているみたいなんですよね。全然日本と雰囲気が違うなと。

ーーー「続けるのが大事」ということですね。最後に、読者に向けてメッセージをお願い致します

大崎 今回「ALGS札幌」についてのお話がメインだったので、そこにまつわるところでいくと、Year4が2ヶ月前に終わったところで、4月からYear5が始まって新しいシーズンに入っています。引き続き、EAさんと一緒に放送をお届けしていくので、日本チームの活躍などを楽しみにしていただけたらなと思いますし、こういうことをやってほしいというファンの声は積極的に取り入れたいと僕らも思っているので、Xでの反応などをちゃんと見ていきます。引き続きALGS、RAGEの放送などを楽しんでいただければと思います。

Apex Legends Global Series Year 5

Donovan 日本がもっとグローバルにeスポーツへ参加していくためには、もっと日本全体の応援の力が必要だと思っています。企業、政府、ファン、各々が自分の世界で動いていると思うんですが、もっと連携がとれれば、日本はグローバルeスポーツ大会が開催しやすい国になれると考えています。そうなってきたら、我々のような会社は世界で行われている大会を日本へ持っていきやすくなる。まだまだ日本は他国と比べるとハードルが高かったりします。例えば、日本はビザが取りづらい。「ALGS札幌」の時も、200人くらいの関係者が来日する予定だったのですが、なかなかビザが通らない…。今は「スポーツ選手のビザ」じゃなくて「エンターテインメントのビザ」なんですよね。たくさんの弁護士の方々に相談をして、それでも5ヶ月くらいかかりました。なのでeスポーツ選手も、他のスポーツ選手のようにビザが取れるような仕組みができれば通りやすいんじゃないかと考えたりします。「ALGS札幌」の時に政府には伝えたのですが、日本でeスポーツの大きい大会をやるとなると、こういったルールも整備した方が、グローバルイベントを招致しやすいと思いますね。メディアや企業、政府の努力で日本をeスポーツが開催しやすい国にしていきましょう。

《森 元行》
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