――ゲームが売れなくなったのは、作り手がお客さんの目線に立たなくなったからですか。
お客さんを十分に観察できなかった。あるいは大声で熱狂してくれるお客さんだけを見て、黙って立ち去っていったお客さんに鈍感だったのではないか。転換期の97年は、高機能のプレイステーションやニンテンドウ64が出たころで、ゲーム業界は盛り上がっているとされていた。その時期に実は衰退が始まっていたことはいろんなことを示唆している。
いずれ、世界中でゲーム離れが起きる。世界で一番早くゲーム離れを経験した日本の開発者は、ゲーム離れへの対処方法を一番早く学び、実践している。それを競争力にすればいい。「既成概念を壊す」「枠を広げる」という任天堂の方向性はその代表だろう。
――世界経済を見渡すと、得意分野に特化した会社が好調ですが。
任天堂は小さな会社だったので、家庭用ゲームという得意分野に絞り込む必要があった。任天堂には常に強みを考える精神が刻み込まれており、私も戦略を立てるとき、自社の強みが生きるように優先順位を決める。経済がグローバル化し、自由競争が進むと、その分野で本当に力のある会社が勝つ。総合を掲げる会社が苦しくなっているのは、会社の定義付けや優先順位があいまいなまま規模を拡大してきたからではないか。
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