スピード感ある心地よい操作性、凝ったギミックが満載されたボス戦は興奮必至の迫力モノ。日本ファルコムならではの隅々まで目が行き届いた親切設計で間口が広く、難易度変更も可能なのでアクションが苦手な方でも大丈夫です。ジャンル名は「ストーリーRPG」ということで、ストーリーを追う上で足枷になりうる要素を極力排除しながら、アクションRPGの面白さや爽快感を追求した内容となっています。
また、本作は1本の独立したゲームで、「軌跡」シリーズとのつながりは全くありません。同社のタイトルを遊んだ事がない人でも安心です。
ゲームはワールドマップから行きたい場所を選択するステージ攻略型。小さい足場をジャンプで渡るジャンプアクション、ダメージ床などの罠や簡単なパズル調の仕掛けなど、アクションゲームに欠かせないギミックが小気味よいバランスで配置されています。軽妙で変化のある構成は楽しく、難易度曲線もゆるやかです。また、攻略中は任意のタイミングでペナルティなくリタイアが可能、さらに長丁場のステージは前半・後半に分かれており、一度でも後半に突入していれば、リタイア後も後半から再開できるなど、初心者に易しいストレスフリーな設計です。
またステージには「四季」があり、ゲームを進めることで四季を変更できるようになります。基本的なステージ構造は同じですが、季節を変えると新しい仕掛けがいくつも追加されたり、出現するアイテムや敵も変化するなど、また違った様相を呈します。春夏秋冬、あわせて4度は楽しむ事ができるのです。なお、これらはメインストーリーには直接的に関係しないエクストラステージといった扱いなので、プレイヤーのペースに合わせて好きに攻略していくことができます。
アクションは攻撃と技、ジャンプ、アーツ(魔法)、回避、防御と一通り揃っていますが、操作は簡略化されているので、基本的な行動は2ボタンで事足ります。二段ジャンプからは多段ヒットする強力な範囲攻撃「下突き」は強力かつ有用。回避やガード時はキャラクターが光って有効時間中(無敵時間中)が目視でわかるのも嬉しいところです。
ほか、ゲームの進行によって特殊能力「クラフト」を習得します。クラフトはステージでも戦闘でも大活躍する、本作攻略のカギ。例えば、車輪状の物体に乗る(?)クラフト「ギアドライブ」は凸凹の壁面を駆け上がる他、体当たりで攻撃する事も可能です。これらの要素はゲームを進めるにしたがって段階的に使用可能になっていくので、混乱する事もありません。
冒頭に記したとおり、ボス戦は本作の大きな魅力の1つです。凝ったカメラアングルや攻撃演出は、画面全体を大胆に使った構図で迫力満点!通常では、絵作りの良さに伴ってキャラクターの位置関係などが見辛いカメラになる事も少なくないのですが、本作ではそれらが上手く調整され、見やすさと操作のしやすさを維持しながらもシネマティックなボスバトルを実現しています。
巨大ボスが多く、派手で、攻撃に特徴があるため全体的に見切りやすいのもポイントでしょう。見た目のインパクトよりも戦いやすいですが、各ボス戦はギミック満載で、力押し戦法は通用しません。ファルコムお得意の、油断していると寸でのところで体力を持っていかれるドキドキ感はもちろん健在です。もはやお家芸ともいえるであろう見事なバランス感覚は最後まで目が離せません。誰でも緊張感あるアツい戦いを楽しんでいく事ができます。
各ステージクリア時は評価に応じてスタンプカードに最大3個のスタンプをゲット、集める事で新しい技などを習得していきます。ナユタはこうした技の習得のほか、レベルアップや店や宝箱から手に入る装備品でどんどん強くなります。特に装備による能力補正は凄まじく、いいモノを装備するか否かでダメージ値に雲泥の差となってあらわれます。随分敵が強いなと感じたら、まずは装備を見直してみましょう。外見もしっかり変化するので見た目にも楽しいですよ。
選択できる難易度はビギナー~インフィニティの4つ。初回プレイ時はビギナー~ハードの3段階が。上の難易度・インフィニティは一度クリアする事で追加されます。
難易度を変更すれば、敵の強さだけではなく、各ステージギミックの難しさ、配置、ダメージ値など全てのバランスが調整されるという徹底ぶりで、ゲーム初心者の方であっても安心です。ビギナーではギミック難易度も大幅に低下し、通常では落下する足場(色が違う部分)が落下しないなど、カナリの配慮がみられます。初心者の方から上級者の方まで幅広く楽しめるようになっています。
上級者にはインフィニティがオススメです。この難易度ではナユタのレベルに合わせて敵が強化されていきますので、能力を引き継いだ2周目プレイで、敵とのレベル差が大きく開いていたとしても油断は禁物。敵が強いからといって、レベル上げでゴリ押しする事もできないストイックなヤリコミモードです。1周目では遊べなかった季節や強力な敵も追加されて遊びごたえばっちりです。
気になったところとしては、最初から選べる難易度がハードまでしかないので、初週の歯応えに少し物足りなさを感じてしまったところくらいでしょうか。人によっては、「軌跡」という名前がついているからと「軌跡」シリーズにあるような物語性を期待してしまうと、肩透かしを食らってしまうかもしれません。
携帯ゲーム機としての利点を生かしつつ、RPGのストーリー性とアクションゲームの軽快さのイイトコ取りをしたような作品です。アクションRPG及びアクションゲームのセオリーが詰まっているので、これらジャンルの入門用としてもオススメしたい1本です。アイテムコレクションや実績などのヤリコミ要素も揃っていますので、ぜひ楽しんでみてください。
★こんな人にプッシュ★
・『イース』シリーズなどテンポの良いACTが好きな人
・ボス戦でワクワクしたい人
・アクションゲームに慣れたい人
★その他備考★
・ボスラッシュモードが欲しい
ストーリーアクションRPG『那由多の軌跡』はPSPを対象に現在好評発売中。価格はベスト版が2,800円(税抜き)、ダウンロード版が2,940円(税込)、UMDパスポート提供価格は1,000円(税込)です。
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Ami
元・ゲームグラフィッカーのボス戦好きなアマゾネス。全ボス戦前でセーブデータ作りました。
ゲームは雑食で、国産から海外、RPGからFPSまでなんでも遊ぶ、食い散らかし系です。とりあえず、ゲームができればそれで幸せ。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/xxxplus/