元祖と呼ばれる『Wolfenstein 3D』がリリースされてから24年、PCゲームの花型として欠かせない存在となったFPS。光あるところには影もある。そんなFPSにも、やはり華々しく今でも新作が発表されたり話題によく登るようなものだけでなく、歴史の影に色々な理由で埋もれてしまった、「惜しい」ゲームがたくさん存在しているのです。

今回はそんな歴史に埋もれたカルトなB級FPSの中から、1990年代後半~2000年台前半のタイトルを編集部が独断と偏見でチョイスし、当時を振り返りながらご紹介していきます。
- ◆ 目次
1P:『DAIKATANA』
2P:『Blood: One Unit Whole Blood』
3P:『Soldner: Secret Wars』
4P:『Nosferatu: The Wrath of Malachi』
5P:『Vampire: The Masquerade - Bloodlines』
6P:『Shogo』
7P:『VENOM. CODENAME: OUTBREAK』
8P:『No One Lives Forever』
9P:『Kingpin: Life of Crime』
10P:『Super 3-D Noah's Ark』
『DAIKATANA』
開発元:Ion Storm 発売元:Eidos Interactive
発売日:2000年6月9日

―あのジョン・ロメロ渾身の一作、のはずだったのに。
カルトなB級FPS、と言えば外せないのがこの『DAIKATANA』。最初に本作が発売予定だったのは1997年のことです。名作『DOOM』『Quake』を手掛けたあの2人のジョンの片方、ゲームデザイン担当の方ジョン・ロメロがid Softwareを退社後独立して手掛ける完全新作、ということで当時のゲーマーは期待を隠せなかったものです。しかし、開発は難航、結局は2000年までリリースが遅れることに。その間、1998年にはFPSの金字塔『Half-Life』がリリースされ、世界的大ヒットを記録したのは記しておくべきでしょうか。しかし話はそれだけでは済まなかったのでした。紆余曲折を経てリリースされた本作は、グラフィックも既に時代遅れ、ローンチではバグや未調整の山でまともにプレイするのは大変だったという……。結果としてジョン・ロメロをそのままゲーム業界の表舞台から引きずり下ろすこととなった世紀の駄作扱いを受けることに。そんな本作ですが公式のパッチに加えて、後にリリースされたユーザーMODによって十分遊べるようになっているとか。興味がある方は探してみるのもまた一興。技術的限界から場面こそ少ないものの先見の明がありすぎたAI操作のユニークキャラの味方と一緒に戦っていく、と言ったゲームデザイン部分など本当に「惜しい」のです。もしこれがid Softwareで2人のジョンの手によって、当初の発売予定の時期に作られていたのなら歴史が変わっていたのかも……。
本作は現在、GoG.comより購入が可能です。

