◆『No More Heroes』(2007年発売)

『シルバー2425』と並び、須田ゲーの世界に入りやすいゲームとして知られているのが『No More Heroes』です。
同作は殺し屋の主人公・トラヴィスを操作し、殺し屋ランキング1位を目指して旅をする…という設定のアクションゲーム。爽快な戦闘とコミカルなノリが相まって、ファンから“バカゲー”としても親しまれています。

その魅力としては、須田ゲーならではのユーモアを挙げるべきでしょう。トラヴィスがカメラ目線で「ゲーム開始だ!」とメタ発言したり、敵が「レーティングに引っかかる。発売中止になったら責任取れないから嫌だ」とメタ発言したりと、やりたい放題でした。
とくにレーティングのくだりに関しては、トラヴィスが「じゃあ早送りにするから教えてくれ」と言うと、実際に早送りになる演出も斬新。
またパロディ要素なども見どころ満載ですが、ずっと明るい雰囲気が続くわけではありません。トラヴィスが殺し屋ならではの悩みに苦しむシリアスな展開もあるうえ、ゴア描写も強めなので、心してプレイしてください。
◆『ムーンライトシンドローム』(1997年発売)
最後は、ファンの中でも賛否が分かれている『ムーンライトシンドローム』です。
同作は1996年に初代PSソフトとして発売された『トワイライトシンドローム』の続編的作品。ただし、登場人物や世界観は引き継いでいるものの、前作との関連性が薄いゲームとして制作されました。
物語の舞台は前作と同様、主人公たちの通う高校ですが、学校名の漢字が前作とは異なっています。そのためシリーズのファンからは、“パラレルワールド”と解釈されることも。
またストーリーに関しても、前作の怪談系ホラーから電波系サイコホラーに一転。主役級キャラクターたちに衝撃の展開が待ち受けており、ファンからは「むしろパラレルワールドであってほしい」という切実な声も聞こえてきました。
それに加えて同作はストーリーが難解であるため、非常に人を選びます。クセのある須田ゲーの中でも、とくに尖ったセンスが発揮された作品と言えるでしょう。
ゲームクリエイターの個性が表に出にくくなっている今だからこそ、プレイヤーに強烈なインパクトを与える須田ゲー。次はどんな異色作が生まれるのか、期待するしかありません!