
◆Q.T.E.システムの元祖といえるゲーム
突然ですが「Q.T.E.」という言葉をご存じでしょうか。Q.T.E.は「Quick Time Event(クイックタイムイベント)」の略称で、画面に突発的に表示されるキー入力やボタン入力の成否で、その後の展開が変化する手法のことです。『GOD OF WAR III』や『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』など、PlayStation 3の名作ゲームに取り入れられることで、一躍脚光をあびたように思います。
そんなQ.T.E.の元祖といえるものが、今回紹介する1983年稼働のアーケード用レーザーディスクゲーム『Dragon's Lair(ドラゴンズレア)』です。本作は主人公ダークが囚われのダフネ姫を助けるために魔法の城を探検するゲームで、全編がアニメーションで構成されています。

アニメはかつてディズニーで作画監督を務めた実績を持つドン・ブルース氏が担当しており、そのクオリティは今見ても目を見張るほどの高さです。
◆これでもほんの一部!ダークの死に様コレクション
『ドラゴンズレア』は再生されるアニメーション映像に合わせて適宜Q.T.E.が挿入され、入力をミスしたり少しでも遅れたりするとダークが死んでゲームオーバーになるという問答無用のQ.T.E.連発&即死ゲーでした。
あまりにさまざまな死に方をするのでそのうち「逆に死に様を見たくなってくる」という声もあるほどですが、いつまでも死んでいてはダフネ姫を助けられません。なんとも痛しかゆし(?)のゲームです。
2023年2月2日までの期間限定で本作を含む3タイトルを1本にまとめた『ドラゴンズレア トリロジー』のスイッチ版が80%オフの400円で販売されていたので、これを機にと購入。ダフネ姫の救出にチャレンジしましたが、これがまぁ死にまくること死にまくること……。たしかにネットの先駆者たちが語る通り「しまいには死に様を見たくなってくるゲーム」でした。トホホ…。



◆ファミコン版は別モノながらやはり即死ゲー!
本作に用いられているレーザーディスクは、最大2時間の映像を記録できる直径30cmの光ディスクです。VHS(いわゆるビデオテープ)よりも高価ながら、より一層美麗な映像を収録できる規格として、ディープなファンやマニアが購入していました。今でいう「DVDに対するBlu-ray」のようなもの…といえば伝わりやすいでしょうか。
つまり本作は厳密にはゲームというより「インタラクティブなアニメーション」という方が実態に近く、プレイ中の度重なるQ.T.E.は「ダークが死なずに済むチャプターと死んでしまうチャプターのどちらに飛ぶか」を選んでいるだけともいえます。「それはゲームなの?」というツッコミが聞こえてきそうですが、リアルタイム・アクションアドベンチャーゲームです!
『ドラゴンズレア』はさまざまなプラットフォームに移植されており、1991年にはなんとファミコン版も発売されました。しかし、ファミコンでは前述したようなアニメーションは実現できないため、ほぼ別物の横スクロールアクションゲームとして制作されています。しかし難度の高さという意味では忠実で、こちらも激ムズでした。
ダークの冒険は、いつでもどんなプラットフォームでも苦難の連続。アーケード版の発売40周年をむかえる2023年も、筆者のようなヌルゲーマーの手でさまざまな死にっぷりを見せるのでした。あ、また死んだ……。


