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“読書感想文苦手派”のゲーマーよ、夏休みの課題を乗り切るならこの本だ! ゲームと親和性の高い名シリーズと意欲作

ゲーマーの中には、読書感想文が苦手な方もいることでしょう。そこで、ゲーマーにこそお勧めしたい名シリーズと近年の意欲作を、それぞれおひとつずつご紹介。課題がある方は、この本で乗り切りましょう!

ゲーム 特集
“読書感想文苦手派”のゲーマーよ、夏休みの課題を乗り切るならこの本だ! ゲームと親和性の高い名シリーズと意欲作
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■未来のゲームマニアが、過去の低評価なゲームを語るレビュー風小説「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」

「ゲーム・キッズ」と並んでお勧めしたいのが、赤野工作氏による「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」。主人公こそ同一ですが、オムニバス形式で読みやすく、また各編で完結しているので、こちらも気負わずに読める作品です。

そして、ゲーマーにお勧めしたい大きな理由は、どの話も全て“ゲームのレビュー”という点です。小説を読む習慣がないと、一冊のお話を読み続けるのは苦労するでしょう。しかし、ゲーマーなら“ゲームのレビュー”を読む機会は多いはず。

ハズレのゲームを掴まないためには、自分と好みが近いレビュアーを見つけ、その人のレビューを読むのも手段のひとつ。どれほど売り上げが高くとも、相性が悪ければ面白くは感じられません。お金はもちろん、時間を無駄にしないためには、チェックするレビューが重要なヒントになります。

「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」は小説であり、そして多くのゲーマーが慣れ親しんだゲームレビューの集合体でもある、非常に稀有な書籍です。

そして本作の特徴は、レビューという体裁だけではありません。本作の主人公は、レビューを執筆し、その文章を自分のサイト「The video game with no name」にアップしている管理人。“世界のあらゆる低評価なゲームをレビューする”という方針のもと、様々なゲームレビューを公開しています。

ゲーマーにお馴染みのレビューという手法で、低評価なゲームにのみ注目するという好奇心をくすぐる着眼点。これだけでも興味深いのに、「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」には、さらにもうひとつの仕掛けがあります。

本作の世界は、現代よりも文明が進んだ近未来。ゲームのレビューなので、対象となるゲームはその時点における過去の作品ですが、読み手の我々からすると、まだ存在しない未来のゲームに当たります。

“かなり先の未来に生きる主人公が、過去の低評価ゲームについて語るものの、そのゲームも私たちから見たら未来のゲーム”という入り組んだ構造と、“低評価ゲームについて、高すぎる熱意で語り続けるゲームマニア”といった馴染み深い切り口が融合する、独特で稀有な近未来小説を、本作は見事に確立させています。

こうして説明すると複雑そうですが、まだこの世に存在しない、この先に生まれるかどうかも分からないゲームの数々を、未来人がその魅力と難点を延々と語るだけ。乱暴にまとめれば基本はひどくシンプルなので、「難しいかも」と警戒する必要は全くありません。

端的に言えば、昔も今も、そして未来でも、ゲームファンが熱くゲームを語るのはきっと変わらないはず。ただ、語るゲームが変わるだけで。そんな風に考えて、身構えず気軽に読んでいい作品だと個人的に思います。

■近未来なのに共感したくなる、生々しい説得力

レビュー形式で、しかも低評価なゲームだけを雄弁に語る小説。その作風と切り口がゲーマー向きだと考え、「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」もお勧めの1冊に加えさせていただきました。

いずれも未来の話なのに、この先誰かがやりそうな“挑戦”や“失敗”、そして作中世界のゲーマーたちが取りそうな行動、言いそうな台詞の数々には妙な説得力があり、読者を引き込む没入感の高さも秀逸です。

レビュアーである管理人の方針が“低評価ゲームを扱うこと”なので、レビューの対象になるゲームはどこか問題があるものばかり。(少なくとも現時点では)全て作者が用意した架空のゲームなのに、VR酔いが激し過ぎて批判された『キミにキュン! 人工ヒメゴコロ』や、バーチャルペットの天国として用意されるも、人口過多と一部利用者の荒らし行為に振り回された『After Life』など、実際にあり得そうなゲーム内容と失敗理由に感心させられてしまいます。

自分の脳をスキャンし、再構成した「友人」を生み出す『密友』は、人工知能の発展次第で現実でも実現しそうな“未来”です。ちなみに『密友』が低評価を受けた理由は、「自分はこんな人間じゃない」と非難が殺到したため。ですがそれは、自分という人間を適切に客観視できず、「このゲームの精度が低いせいだ」と責任転嫁した結果でした。

ゲーム自体の出来が良くても、受け手側次第で低評価を下される。そんな皮肉の効いた展開も盛り込まれており、見たことのないゲームの話なのに「あるある」とつい頷いてしまいそうになります。そんな疑似的な既視感を覚えるほど、本作は現代にも通じるゲーム事情を近未来SFにうまく取り入れています。

それぞれが完結しているレビューという馴染みやすい内容。秀逸な近未来SF要素。説得力のある“低評価ゲームの問題点”のユニークさと、痛烈な結末。このような理由と魅力から、ゲーマーに適した読書感想文向けの小説として、「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」も推させていただきます。

「カクヨム」掲載ページより

本作も電子書籍版があるので手間なく入手できますが、さらにお手軽な方法がひとつあります。「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」はもともと、小説を無料で掲載・閲覧できるWebサイト「カクヨム」に掲載されていたもの。後に書籍化を果たしましたが、「カクヨム」版は今も公開中なので、まずはそちらから触れてみるのもお勧めです。

なお書籍版には、「【第21回】阿知羅の御鏡2016年9月29日」と「<累計10,000HIT御礼>」まで収録されていますが、「カクヨム」版での連載はさらに続いており、「【第26回】Small World」まで掲載されています。書籍版を読み終わった人も、その先を求めて「カクヨム」版にアクセスしてみましょう。


ショートショートで読みやすく、デジタルな社会の未来を切り取る「ゲーム・キッズ」シリーズ。低評価なゲームに熱意を傾けたユーザーによる、生々しくも未来的なレビュー系オムニバス小説「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」。いずれもゲーマー向きの題材が多く、また手法も親和性が高いので、長編小説を読むのが苦手な方にもお勧めできる作品です。

もちろんどちらも、面白いのは大前提。相性や好みで意見が分かれる面もあるかと思いますが、「ゲーム・キッズ」は多くの方に愛されているからこそ、平成初期から令和まで続く長寿シリーズになりました。また「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」も、書籍化は「カクヨム」版での成功あってこそ。いずれも確かな実績があるので、クオリティの面もご安心ください。

ちなみに「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」は、お伝えした通りレビューを集めたオムニバス形式の小説ですが、通して読むことで管理人の人柄が見え、人生の歩みすら窺えます。主人公がどのようにゲームを愛し、これからも接していくのか。ぜひ最後まで読んで、その結末を見届けてください。

「ゲーム・キッズ」は長年歩み続けてきたシリーズなので、各先品ごとの時代に照らし合わせながら読むと、時代が移り変わっていく様や、それでも変わらない人間の本質などが浮き彫りとなります。そうした背景に注目しながら読むと、奥深い文章の森を分け入るような感覚も湧き上がり、読書体験がさらに濃密なものになるでしょう。

最初の動機は「読書感想文をなんとかするため」で全然OKですし、無理に好きになる必要もありません。どんな理由でも構わないので本を読み、そして楽しく感じたのであれば、まずはその感覚を大事にしましょう。

そして楽しい感覚がさらに育った時、新たなお勧めの本を紹介する機会に恵まれたら幸いです。その時はまた、お付き合いください。


ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
¥1,188
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
1999年のゲーム・キッズ(上) (星海社 e-FICTIONS)
¥491
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《臥待 弦》
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