■『ユニコーンオーバーロード』(体験版:Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S)
『メタファー:リファンタジオ』と同じくアトラスから発売されたタイトルですが、この『ユニコーンオーバーロード』を開発したのはヴァニラウェア。『オーディンスフィア』や『朧村正』、『ドラゴンズクラウン』に『十三機兵防衛圏』と、いずれも名だたる作品をプレイヤーに提供し、その名を馳せているメーカーです。
ユーザーから厚い信頼を集めているヴァニラウェアですが、『ユニコーンオーバーロード』の発売前には若干不安視する意見もごく一部にありました。ヴァニラウェアはアクション性のある作品が多めで、『ユニコーンオーバーロード』のようなシミュレーションRPGは同社のラインナップ的には比較的珍しい作品です。
そのため、ヴァニラウェアの代表的な作品の印象が色濃い人からすれば、『ユニコーンオーバーロード』は測りがたい面もありました。ある程度近しい作品として『グランナイツヒストリー』を開発した実績もあるのですが13年以上も前のゲームなので、近年ファンになった人なら知らなくてもおかしくありません。
ですが、「ヴァニラウェアにしては珍しいジャンルなので、手を出し損ねている」という人がいるなら、食わず嫌いは非常にもったいないタイトルだと自信を持って言えます。もちろん、シミュレーションRPGそのものが苦手という人には向きませんが、ジャンルに抵抗がなければ一度触れてみても損のない作品に仕上がっています。
ファンタジー世界を舞台に帝国の打倒を目指す『ユニコーンオーバーロード』は、多種多彩なユニット同士のシナジーを考慮しつつ部隊を編制し、敵味方の部隊がリアルタイムに行動しながら戦うリアルタイムストラテジーです。
一見すると難しそうに感じるかもしれまんが、「強力だけど撃たれ弱いユニット」に「盾となる耐久力のあるユニット」を組み合わせるといった考え方で大丈夫。もちろんユニットごとに特性や相性があり、深く知るほど強力な部隊が編制を組み上げられるので、奥深さも十分。ユニットの種類も豊富なので、編成だけで時間があっという間に溶けていきます。
一方で、『ユニコーンオーバーロード』は戦闘にかかる時間がかなり短く、そこも特徴的な点と言えます。一般的なシミュレーションRPGは1戦1戦が長くかかる場合が多いのですが、『ユニコーンオーバーロード』は比較するとかなり短時間で戦闘が終わります。
部隊の移動などフィールド上の行動はプレイヤーが指示しますが、戦闘に入るとオートで進行。条件に応じた行動を自動的に行うため、戦闘がかなりスピーディに終わるのがその理由のひとつ。オート進行なので、事前の準備で勝敗が決まると言っても過言ではなく、こうした作りから「戦闘時間は短く、事前の準備で時間が溶けていく」というゲーム性に仕上がっているのです。
このほかにも、自由度の高い攻略ルート、強化を含めたユニットの多様性、編成を試行錯誤する楽しさ、そしてヴァニラウェアお馴染みの豊かなビジュアル表現など、様々な魅力が『ユニコーンオーバーロード』に備わっています。
こうした要素の多くは、やはり直接触れて確かめてみるのが一番。本作の体験版は、序盤をまるごと楽しめるボリューミーな内容になっており、こちらも約5時間のプレイが楽しめます。また、製品版にセーブデータが引き継げるのも嬉しいポイント。腰を据えて遊ぶのにピッタリの『ユニコーンオーバーロード』、まずは体験版からお楽しみください。