■予約は激戦、発売後も入手難が長く続いたPS5
スイッチの発売から3年半後の2020年9月18日午前10時、PS5の予約受付が幕を開けました。2020年といえば、1月に東京都で新型コロナウイルス(COVID-19)の初感染者が確認され、密を避ける、外出はなるべく控えるといった慣習が急速に広まった年です。
ゲームを取り扱う店舗もこれに倣い、PS5の予約受付の多くはオンライン上で行われました。そのため、店頭での予約受付もあったスイッチとは異なり、購入希望者の大半がオンラインの受付に殺到します。
予約開始当日、筆者も予約受付に参加しましたが、PS5をカートに入れることすら困難で、幾度もエラーに出くわしました。ようやくカートに入っても、予約受付の手続きを完了できず、途中でエラーが出ればやり直し。この流れを幾度も繰り返した挙句、気づけば予約受付は終了しており、事前の予約は失敗となりました。
SNSなどを見れば、自分と同じように予約できなかった人の声が多く飛び交っており、PS5の予約は困難だったのだと改めて思い知らされます。
発売後にキャンセルが出るのでは……と儚い希望を抱いて店舗を覗いたこともありましたが、仮にキャンセルが出ても店頭での直接販売は見当たらず、残念ながら空振り。再入荷の予定も消費者側には分からない場合が多く、各店舗やストアの告知を待つほかありません。また、販売方式にも変化があり、予約受付から抽選方式に切り替える店舗が続出しました。
「とはいえ、こんな状況も供給が続けば落ち着くだろう」と筆者も当初は楽観視していましたが、年を明けた2021年に入っても十分な供給はなく、わずかな再入荷に対して多くの人が(オンライン上で)詰めかけ、予約や抽選の競争が繰り返されるばかり。
筆者も、幾度となく抽選販売に挑んでは、落選の通知を受け取る日々が続きます。2021年3月末にようやく抽選販売に当選しましたが、これほど手こずるとは全く想像していませんでした。

しかし、半年経たずに購入できたのはまだ運が良い方で、供給不足による抽選販売が2年以上も続くとは、当時は誰も予想していなかったと思います。その理由のひとつは、コロナ禍の影響で生産台数が想定を下回ったため。スイッチの場合は人気の再燃となりましたが、PS5の場合は供給と需要の差が大き過ぎたため、活性化よりも競争過多といった面が強い展開になってしまいます。
また、転売問題も普及に悪影響を与えました。入手難の頃は、定価以上の価格で買い取りする店舗もあり、購入直後に売っても差額でプラスになる状態でした。また、個人が不用品を出品するフリマアプリを利用する人も続出します。

そのため、PS5そのものに興味がない人も差額で儲けるため抽選販売に参加し、競争倍率がいっそう上がるといった事態に陥ります。当時フリマアプリを覗くと、PS5の出品が相次いでいました。
こうした状況は実に2年以上も続き、誰でも気軽に購入できるようになったのは、2023年の初めごろになります。欲しくても買えなかった人たちの元に、ようやくPS5が行き渡るようになりました。
ただし、この2年の間にPS5は値上げとスリムになった新モデルへの切り替えが行われ、現在の価格はディスクドライブ版79,980円/デジタル・エデション版72,980円(共に税込)まで上がっています。
買いたい人が多かったものの供給不足で手に入らず、買いやすくなったのは値上げ後と、購入希望者には少々残念な経過を迎えました。その後の価格改定も、決して嬉しい流れではありません。コロナ禍や円安、広域的な物価高騰と、やむを得ない事情が重なったPS5の展開は、待ち望むユーザーにも深刻な影響を及ぼす結果となりました。