■困難な転売対策に立ち向かう、任天堂のリスクをとった対応

今も転売問題がたびたび話題になるのは、完璧な転売対策がない証でもあります。もし優れた転売対策があれば、転売自体が起こらず、話題になることも必然的になくなるはずです。
コンサートやライブなどのチケットは、転売対策が進んでいるジャンルのひとつですが、それでもまだ完璧ではなく、転売問題やそれに関するトラブルが絶えません。
「転売」が放置されるとユーザーの購入意欲が削がれ、普及に足止めがかかるのも事実。しかし、罪のないユーザーを巻き込まず、転売目的による購入だけを防ぐような徹底した対策を講じるのは、いくら任天堂でも困難を極めます。「スイッチ2」の普及や完全新規への配慮などを考えれば、条件付けおよび規制による転売対策は厳しいと言わざるを得ません。
ただし、締め付けとはまったく逆の方向で、これ以上ないほど効果的な転売対策がひとつ存在します。それは、「転売」の価値をなくすこと。「転売」を無視できるほど販売環境が充実していれば、規制ではなく転売価値の消失という形で、「転売」自体がなくなります。
「転売」が成り立つのは、“その時の市場に適正価格の商品がない”というのが絶対の条件です。店舗で普通に売っていれば、わざわざ金額の高い転売先から買う人はいません。これを「スイッチ2」に当てはめて考えた場合、「スイッチ2」が大量に供給され、通常の販売ルートで需要が十分なレベルで満たされれば、転売を実質的に無効化できます。

もちろんこの話は、「言うは易く行うは難し」の典型で、実際にそれだけの台数を揃えるのは転売対策とは別種の困難さがつきまといます。しかし、任天堂側の発言を見ると、「スイッチ2」の生産体制には一定の期待が持てます。
第84期定時株主総会の質疑応答では、「スイッチ2」(この時は後継機について)の転売対策に関する質問に対し、「お客様の需要を満たせる数をしっかりと生産することが最重要だと考えており、昨年からこの考えは変わりません」と答えており、転売問題を考慮していること、生産体制が活路になることを認識しているのが分かります。
また、2025年3月期第3四半期決算説明会の質疑応答にて、「なるべく大きな需要を満たせるように、リスクをとって生産を進めているところです」と、生産体制の強化に前向きな姿勢を見せています。
具体的な数字は結果を見るまで分かりませんが、「スイッチ2」の初期出荷や継続的な流通で、相応の台数を出してくれる可能性が高まっています。これが「転売」への特効薬となるのか、任天堂の動きも含め、今後の展開にも注目が集まることでしょう。