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アドベンチャーゲームを作って声優番組に送ったら、極上の「後方腕組みクリエイター体験」ができた件【年末年始特集】

「ゲーム制作に興味があるけど完成させられるか不安」…そんなあなたにオススメしたい、モチベーション維持の極めて珍しい例を紹介します。

ゲーム 特集
アドベンチャーゲームを作って声優番組に送ったら、極上の「後方腕組みクリエイター体験」ができた件【年末年始特集】
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◆「ギミック」をどうする?

さてこの段階で「物語を読む」ことに関してはシナリオのラストまで表現可能となりました。問題はこの後。「ゲームとして楽しませる部分」をどうするかです。たとえば選択肢などですね。

ただし仮に選択肢を入れるにしても、物語が分岐したり、異なるエンディングを実装したりすると、きっと「このパターンも見てみたい」と吉成さんたちは考えるはず。すると番組のテンポが悪くなってしまうでしょう。そこであえて一本道にしたり、選択肢で不正解をクリックしても反応したりしないよう調整しました。

それでは実際にどのようなギミックを組み込んだのか? プレイヤーが感情を込めて選択肢をクリックするような、物語性を重視したギミックにしました。

本作は「聖闘士星矢」の十二宮編のように、3つの部屋を順番に移動する物語です。ひとりが残って敵と対決し、最後に必殺技を放ってバトルを終わらせる……そのような構成です。

ならば3つの部屋をうまく利用し、各部屋で「マヨネ(マヨネーズ)」「ケチャ(ケチャップ)」「しょうゆ」をそれぞれ立たせつつギミックを盛り込めば、ちょうどいいテンポで山場を3つ作れるはず。

そこでまず第1の間では、藤川さん演じる「ケチャ」が必殺技の名を叫ぶよう誘導することにしました。必殺技の名称は「ファントム・ザ・ブラッディ」。中二病感がマシマシで、藤川さんがいつも照れながら絶叫するワードです。

具体的には、「ファントム・ザ・ブラッディ」の選択肢をひとつだけ用意。まずはその選択肢を藤川さんが叫びながらクリックするよう誘導します。そして照れながら叫んだ場面で「※気合が足りないようだ」と地の分で煽り、再び「ファントム・ザ・ブラッディ」の選択肢を少しだけ大きく表示します。そのようにして最初の山場を作りました。

第2の間では永野さん演じる「しょうゆ」が主役に。必殺技の名称が「本醸麹熟成抹醤油」と若干分かりづらく、オフラインイベントでも一瞬忘れてしまったという場面があったことから、「正しい技名」を「正しい組み合わせ」で選んでもらうことにしました。

まずは「本醸」と「本田」の2択。続いて「麹熟成」と「超熟成」の2択。最後に「抹醤油」と「抹消you」。ここで分かりづらいとテンポが悪くなってしまうため、クイズとしては比較的簡単にします。理由はガチのクイズをさせることではなく、ネタとして盛り上がってもらうためだからです。しかしここである閃きが……。

「どうせなら最後は10個くらい表示してインパクトを出すか」と考えたところ、永野さんが以前リリースした音楽アルバム「メタコグニ」がちょうど全10曲収録だったことを思い出し、「ならば全部、永野さんの楽曲にしてしまえ!」と急ハンドル。永野さんが作詞・作曲した楽曲タイトルを画面いっぱいに並べることにしました。

ちなみに永野希さんは、「ハナマル☆センセイション」でおなじみのアニソンバンド「Little Non」(リトルノン)のボーカル。現在はソロ活動もしており、そのデビューアルバムとしてリリースしたのが「メタコグニ」でした。

最後の第3の間は、バラバラだった「マヨネ」「ケチャ」「しょうゆ」が再び集結するということで、吉成さん演じる「マヨネ」の主役部屋ではあるものの3人が力を合わせる展開に。いわゆる元気玉の要領で、「ウチの力をマヨネに!」「私の力をマヨネさんに!」と、叫びながら選択肢をクリックしてもらうようにしました。

そうして完成したゲームは制作期間2日。再利用したシナリオの元々の執筆期間を含めると1週間程度という、とても短い期間で完成にこぎつけることができたのでした。

◆「(ニヤリ)」と「しまった…」が交互に訪れた番組視聴

番組内の実況プレイでは冒頭からツッコミの嵐。とくにスマホで撮影した仮素材の立ち絵は、「画質が悪い(笑)」と注目の的に。実は本番ではもっと綺麗なイラストに差し替えるつもりでしたが、テストプレイ中に「画質悪っ!」と心の中でツッこんだことから、「ツッコミを入れたってことは番組的においしいのでは?」と思いそのまま行くことにしました。その思惑がうまく行ってこちらもご機嫌です。

反省点は早くも見つかりました。吉成さんの「(敵キャラ)喋らないね」のひと言です。この物語を最初に書いた時は朗読劇を想定していたので、吉成さん、藤川さん、永野さんが兼役にならないよう、敵キャラには一切喋らせず「マヨネ」「ケチャ」「しょうゆ」の一人芝居で各バトルをさせました。

その時はそれが正解だと思いましたが、今回はその必要がなく、むしろ喋らない敵キャラに違和感があります。その「思い込み」に気付かされたというわけです。

また朗読劇でリズムを作るために入れていた「それ!」という掛け声や「はぁ、はぁ」という息切れも、全体的にテンポを落とす、またはせっかく盛り上がった場をクールダウンさせるマイナス効果があり、もっと詰めても良かったなと反省しました。

その一方、必殺技の「ファントム・ザ・ブラッディ」を叫ぶ場面では、期待通り、藤川さんが嫌がる場面が見られてまたまた笑顔に。「うざーい!(笑)」「(制作者)覚えてろよ!」でさらに“ニヤニヤ”です。「失礼になっていないだろうか」と思いながら組み込んだネタでしたが、快く乗っていただき嬉しく思いました。本当にありがとうございます。

続く第2の間では吉成さんがアドリブで敵役を演じていただき、ただでさえボイスつきで感動しているところへ思わぬご褒美です。

さらに選択肢の場面では、はじめてひとつから2つへ。「選択肢が増えてる!」のリアクションにも感激でした。また10択の場面では、永野さんのアルバム「メタコグニ」の収録曲が一面に広がったことで永野さんのテンションもMAXに。当初はただのクイズで終わる予定でしたが、急に楽曲タイトルを並べるアイデアが閃き、個人的には意味のあるシーンにできたのではないかと思いました。

ちなみに正解の選択肢が10択に埋もれては番組のテンポが落ちてしまうので、若干わざとらしいと思いつつ、ひとつだけ色をつけつつ画面端に配置しました。あの位置なら視聴者の視界から外れますし、演者側が気付いてもスルーできるはずです。

そして最終の第3の間は吉成さんのターンです。ネタに振りたい気持ちもありましたが、最終決戦の場ということもあり展開の熱さを重視。吉成さん、藤川さん、永野さんが3人で力を合わせる流れにしたく、申し訳ないと思いつつもそれで着地しました。

シナリオ的に若干グダってしまった部分もありましたが、それを感じさせないキャスト陣のテンションと入り乱れるツッコミの嵐に救われた本作。続くコーナーでは、ゲーム内設定の隙間を埋める関連企画も実施していただき、これ以上なく光栄な時間と学びを頂戴しました。すでに取りかかっている次回作ではそれらを反省点に、まずは完成を目指したいと思います。

そして思うのは、実際にプレイしてもらい、その反応や感想をもらうことがいかに重要かということです。それはなにもゲームだけに限りません。ゲームならテストプレイ、文章やマンガなら感想をもらうことがどれほど大切か身をもって知りました。

自分の中では成立していること、じゅうぶんに表現していること、説明していると思い込んでいることでも、他者から見れば不完全なことがあります。

今回、快くネタに乗っていただいただけでなく、色々な事を気づかせてくれた「ちょうみりょうぱーてぃー」のスタッフのみなさん、そして吉成由貴さん、藤川茜さん、永野希さん、本当にありがとうございました。

ゲーム作りって本当に楽しいですね。みなさんもこの年末年始にゲーム制作をはじめてみてはいかがですか?

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