
森「へ、編集長!スマホから女の子が!!」

謎の女の子「……はぁ!」

森「……えっと(マジかわいい)」

謎の女の子「はじめまして」

偶然か運命か必然か、はたまた某企業の策略かは分からないが、“戦国炎舞内の巫女がスマホから出てきた”というシチュエーションに驚きつつも、森は興奮している。

森「とりあえず、大丈夫ですか?(さり気なく手を……)」
ファーストインプレッションはまずまず。彼女からも「ありがとうございます。お優しいんですね」とのこと。

森「それで……えっと、ここは東京の新宿です。そのスマホから出てきましたよね?名前は?(あわよくば、お近づきになりたい)」
謎の女の子「私は今野杏南といいます!実は『戦国炎舞 -KIZNA-』という世界から来まして……」
やはり戦国と本格リアルタイムバトルゲームが融合した『戦国炎舞 -KIZNA-』というゲームから来たという彼女は、続けてこう言った。

杏南「私、強い人を探しているんです!!合戦で活躍してくれそうな人を」
「合戦」とは、最大20対20のユーザー同士で決まった時間に行われるリアルタイムバトルのことである。どうやら彼女は、その「合戦」で活躍できる強いプレイヤーを探しているようだ。

森「あぁ合戦ね…俺めっちゃ強いよ!!それよりもさ、せっかくだしこの世界を案内してあげるよ?(ゲームから出てきただって!?よく分からないが、流されちゃいけない)」

森「ほら、今はこんな感じなんですよ」

杏南「これはいったい……」
森「ちょっと外に出てみましょうか」

杏南「わぁ!建物がいっぱいで大きい!」

森「どうですか!この世界は!?(これは、意外といいムード)」
杏南「いや、そういうの別にいいんです。で、あなたの決闘ランクはいくつなんですか?」
森「え?隊長だけど……」
因みに「決闘ランク」とは、ゲーム内の地位のことである。残念ながら「隊長」はかなり低い……
杏南「寒いので、さっきの場所に戻りましょうか」
一気に冷めてしまった彼女に言われるがまま、オフィスに戻る。

杏南「私、強い人しか興味ないんです。信長様とかが相手なんで隊長とかありえなくないですか。隊長ですよ、た・い・ちょ・う!!!むり!」
森「いや、その…すみません。」

杏南「う~ん、出てくる場所を間違えてしまったようです。もう大丈夫です。ではさようなら」
どうやら彼女は、別のプレイヤーのもとへ行ってしまうようだ。

森「ちょ、ちょっと!俺強くなるから!!!」
だが、その声は彼女へは届かなかった――

森「……なんだよこれ!くそぅ……『戦国炎舞 -KIZNA-』…。俺は強くなる!」