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ツンデレエムブレマーは青春の夢を見るか?ニチアサ×少年漫画のハイブリッド『FE エンゲージ』が面白すぎて倦怠期のカップルがよりを戻した話

最新作『FEエンゲージ』の評価はどのようなものだったのか?『ファイアーエムブレム』シリーズ34周年を記念して振り返ります。

ゲーム Nintendo Switch
ツンデレエムブレマーは青春の夢を見るか?ニチアサ×少年漫画のハイブリッド『FE エンゲージ』が面白すぎて倦怠期のカップルがよりを戻した話
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筆者は『エンゲージ』を初見「ルナティック&クラシック」、作中最高難易度で始めました。当然、最初から最後まで大変難しく、何度もコントローラーを文字通り投げそうに。ですが、これがたまらない。絶叫アトラクション。もしかして自分、Mブレマー…ってコト!?

SRPGといったゲーム性自体は変わらないのに、『エンゲージ』の戦闘がシリーズでもずば抜けて面白く感じた理由のひとつとして、初見を「ルナティック」で遊んだからという点が大きいかもしれません。というか、積みポイントがないから初見でも「ルナティック」でクリアできたので、印象が良いんです。

本作では、2周目以降特典でゲーム開始時にRPGの醍醐味である成長システムが「固定」か「ランダム」を選択することができます。しかし、「ルナティック」だけは1周目から強制で「固定」となっており、ユニットのパラメータが期待値通りの数値となります。

『烈火の剣』以降の『FE』では、大方どのユニットを選んでもクリアには支障のないラインまでは育ってくれるように調整されているのですが、それでも注力していたユニットが運悪くへたれてしまうと、最悪積みます。他のユニットを育て直すにも、高難易度では容易ではありません。

そんな積み要素を一掃するのがこの「固定」成長システム。初見「ルナティック」とのシナジー効果は抜群といえましょう!2周目からは「ランダム」成長を選択できるし、一粒で二度おいしい。

また「ルナティック」といえば、何かしらプレイヤーだけが圧倒的に不利な初見では対応不可能なハートブレイクポイントがあります。前作『風花雪月』の「ルナティック」で例えると、何もないところから突然現れ、ジェット機のような進軍速度と火力で荒らしていく増援即行動のペガサスナイトなどが当てはまるかと思います。『エンゲージ』はこの増援即行動がなく、出勤してすぐブレイクタイムを与えるホワイト企業となっています。

好きな場面へ時を戻せる「竜の時水晶」

とはいえ『Echoes』以降、近年の『FE』では一手を巻き戻す令和っぽい便利機能があります。これでやり直しはスムーズに効きますが、違う、そうじゃない。こんなの絶対に巻き戻し機能使わないと突破できないだろ!というようなことが毎ターン起きる。そんな心が折れる理不尽初見殺しからなるストレスは、『エンゲージ』では一切感じません。

ついでにTIPS感覚で差し込むのですが、この便利な「竜の時水晶」は途中で失います。巻き戻しがないって、それもう昔の『FE』じゃん。

そして、手強いシミュレーションに飢えたエムブレマーを黙らせた注目すべき新要素として、『FE』では聞き慣れない単語である「ブレイク」、「チェインアタック」というものがあります。どちらもリュール(男)と同じ声がする大作RPGで聞いたことのあるワードな気がしますね。

まず「ブレイク」。こちらは大半の『FE』で採用されている、「三すくみ」システムをさらに強化したものとなります。

相手より有利な武器で攻撃したら相手が「ブレイク」、つまり行動不能になる単純なシステム。自ターンで敵に決めることができたら途端に有利になる、積極的に狙っていくべきものです。

しかし、いざ敵ターンになると、どこで誰がブレイクを取られるか咄嗟にわからないものなんですよね、これが! 従来、三すくみは命中率に差が出るのみでしたが、今作は常に武器相性を踏まえた上で相手の行動を予測していかないといけません。反撃不能になっている間に自軍は大きく不利な局面に傾いてしまいます。「ブレイク」の登場により、大きくシミュレーション性が上がったといえるでしょう。

こちらは「チェインアタック」。ご覧のように、攻撃範囲内の味方ユニットが戦闘に参加し、敵のHPを削ってくれるという『覚醒』の「デュアルアタック」に似たシステムです。「デュアルアタック」と異なり、今作は味方だけでなくしっかりと敵も使ってくるのでバッチリ平等です。

たっ、足りない!1足りない!!思わずアイビー王女も苦い顔。でもこちらには仲間がいるのよ、RPGだもの。これが絆の力だ!

なんとチェインすることで、『FE』によく出没する妖怪「1足りない」を撃退できるのです!上手くユニットを配置する必要があるので、決まった時は最高に爽快な気分になれます。

これらの新要素は過去作に搭載されていたシステムを、より明確に強化したものといえます。新しいのに、新しいわけじゃない。

また、個人的にすごく評価したい点なのですが、ちゃんとアーマーが固くて頼りになるバランス。そうそう、こういう古臭い『FE』がやりたかったんだよ!反面、主人公が非力な点も、紋章士として参戦している「マルス」や「ロイ」を彷彿とさせます。久し振りの感覚です。

固い、強い、遅い!のルイ。めちゃくちゃ頼りになりすぎて気付いたら惚れてしまう。居ないと(他ユニットが)生きてられない。マジで。

ですがこんなに固い彼も、守備貫通の「チェインアタック」の前では無力。重装だからブレイクも効かないし、よし、とりあえずルイで塞ぐか!と安易な戦略を組み立てると、チェインが飛んでくることを見事に忘れ、撤退セリフを耳にすることに。

回避性能に優れたユニットを壁に使うという手もありますが、ブレイクは避ければ無効なもののチェインアタックは当たります。このように、従来の『FE』で定番だった待ちの戦法が通用しないのです。これはシリーズプレイヤーだからこそハマってしまう罠ではないでしょうか。エムブレマーならではの新鮮な悲鳴、お待ちしております。

RPGでよく言われる「レベルを上げて物理(金)で殴れ」は、『FE』シリーズでも例外ではありません。しかし、これも古臭い『エンゲージ』なら…もうお分かりですね?通用しません。

その理由として、軍資金と経験値(EXP、スキルポイント)がとにかく渋い。いやもうフリーマップ機能してないんじゃないかというぐらい渋いです。闘技場も無いし。全然増えない。やり込み勢からすると、拠点投資やら育成やらでずっと足りない。まさしく戦時中。

これだけ書くとケチくさいだけでデレるポイントが何も見えてこないのですが、これがまた、シリーズ屈指の鬼畜と言われる『トラキア776』を味わいしゃぶり尽くしたエムブレマーからすると、なんか古い『FE』が帰ってきた感じしてたまんない。喜びを感じる。ありがとうございます。やっぱりMブレマーかも。心がふたつある~~。


《八羽汰 わちは》

たまに絵も描く 八羽汰 わちは

はちわたわちは(回文)メディアへの憧れとゲーム好きが融合してゲームライターに。幅広く手を出すが一番好きなジャンルはJRPG。特技はヒトカラ12時間。

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